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映画のタネとシカケ | 御木 茂則 (著) | 2024年書評98

今年に入ってから映画を観る回数を意識的に増やしており、その中で映画の作られ方について興味を持ったので読んでみました。

本書を読んだきっかけはBird and Insectのレビュー動画になります。どこかの誰かがおすすめした本を読んでみるというのは最近よくやっており、新しい本に出会うきっかけになっています。

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本書を書かれているのは御木茂則さんです。映像カメラマンとしての視点や大学の講師の視点など解説が面白い内容でした。

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📒 Summary + Notes | まとめノート

解説映画

  • ジュラシック・パーク https://amzn.to/3Y1My1M

    スティーブン・スピルバーグ監督のCGを活用した物語です。ブロッキングの技法が活用されておりカメラの動きや役者の立ち位置、正確なライティングにより興奮を演出しています。

    cinemore.jp


    ハワイでのロケであり天候による映像の変化を避けるためにライティングをうまく行い統一感のある映像を撮影しました。

    最後のT-REXが下りてくるクライマックスシーンはビジターセンターの曲線の動きにより迫力をもたらしています。

    撮影の予定は101日であったところ撮影監督ディーンカンディの力で12日間も早く撮影を終え、予算コントロールもしたようです。

  • ラ・ラ・ランド https://amzn.to/3Y5GyVK

    監督のデイミアン・チャゼルは前作セッション(https://amzn.to/3Y4CHYV)で成功を収め、次にフランス映画の影響を受けたミュージカル映画を撮りたいと思い撮影されたものです。

    オープニングのダンスシーンではハイウェイを撮影場所としており思ったより激しい傾斜や影を出さないような動き、クレーンを使ったカメラワークなど多くの困難と挑戦がありました。

    映像で印象を強く残した色彩設計では主人公たちの対比をするために補色を活用しました。二人の愛が終わる場面では色彩が無くなるのも巧妙な演出です。

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  • フレンチ・コネクション https://amzn.to/3Y1MDT8

    監督のフリードキンは1テイクのみを信条にしており、カメラも躍動感を出すために方にカメラを乗せた状態で撮影しました。役者への指示も具体的な動きを知らせないなど予測させないスリルのある映像に仕上げる工夫がされています。

  • 透明人間 https://amzn.to/484IBxI

    透明人間では気味の悪さを演出されるためのカメラワークが使われました。パンをして何もない廊下を映し出したり、空間の多い構図を使い何かが部屋の中に居る様子を想起させます。

    クレーンショットを使い感情の変化を表現し、悲しみや驚きなどの感情表現を行っています。

  • パラサイト半地下の生活 https://amzn.to/4dI9cC8

    パラサイトではトラックアップ(カメラが近づく動き)について解説されています。

    以前他の本でも読んだようにパラサイトは階層社会を表現されている映画です。階級社会の線引をカメラワークで巧みに表現しています。

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  • トイ・ストーリー4 https://amzn.to/3Y5l4Ij

    トイ・ストーリーの解説では背景のボケとライティングによる表現が語られています。ウッディとボーの会話のシーンにおいても、ボーの背景に青のライティングで不安を想起させたり、ウッディの証明は顔を暗くして迷いを表現したりされています。

    また背景のボケが変わるように同じ構図の撮影においても望遠レンズと標準レンズの使い分けが行われています。

  • 1917命をかけた伝令 https://amzn.to/482NO9c

    ワンショットシーンが話題を読んだ1917では計算したトランジットについて解説されていました。撮影されたカメラ機材の解説や使用比率などもあり、それぞれの特徴なども示されております。

  • ミュンヘン https://amzn.to/3NnCWti

    黒い9月をテーマにした映画であり、シネスコ、スタンダードサイズなど画面によるサイズの変化が解説されています。シネスコは幅が広くあるために全体の舞台を見せる時、スタンダードサイズはより一点を強調させるときに使用されました。

    ミュンヘンの撮影時、スティーブン・スピルバーグは絵コンテを作成せず、リハーサルも無い場面などもあり即興的な画作りに拘ったものです。

その他解説作品

感想

映画という壮大な規模でお金と人たちを投下しながら作り上げられるプロの映像について解説されている本でとても面白いものでした。特に面白かったのはフレンチ・コネクションミュンヘンなどで解説されている一発撮りにこだわる手法で、何回も撮影し作り上げていくこだわりがある日本文化的なものと異なり、思い切りや臨場感を大事にする感覚を映画で使用することは驚きです。

映画にもストーリーを魅せたいのか、撮影技術や手法に拘りがあるのか、映像美に重きを置いているのかなど様々な類のものがあると思います。

先日観たぼくのお日さまは映像美の印象があります。

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最近はSNSでの流行手法などもあり、Everything everywhere all at onceを観た時は

複雑でスピーディーな編集カットは最近のSNSトレンドを色濃く感じました。

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実験的な試みも多くやられており、きっと時に失敗だったなと思うような試みも含め様々な手法を活用しながら作られていると思うと映画作りはとても壮大な作業なのだろうと感じます。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/4eYIFBj 映画の文法――実作品にみる撮影と編集の技法 単行本 – 1980/4/10 ダニエル・アリホン (著), 岩本 憲児 (翻訳), 出口 丈人 (翻訳)