ライフイズビューティフル

訪問記/書評/勉強日記(TOEIC930/IELTS6.0/HSK5級/Python)

2018書評 #4 映画を撮りながら考えたこと

いつか読みたい読みたいと思いながら積読状態だった本。

連休などで移動時間がまとまって4、5時間あると落ちついて本が読めるのでとっても貴重な時間だと再認識し、意識的にそういった時間を作っていかないと駄目だなあと思う。

さて、今回読んだ本は映画を撮りながら考えたこと

とっても面白かった。

この本は実はメディア関係の知り合いに印象的な本を聞いてこの本のタイトルが出てきたもの。誰も知らない海街Diaryなどの著名作品で知られる是枝さん。

映画のスタイルは綺麗な映像描写と曖昧な表現、美しい繊細さが個人的にはとても好きな方です。あまり商業感の少ない、ヒットさせようという気があまり感じなかったのですが、この本を読んでやっぱり気にしてない部分多いんだなんて認識できた。

最近観た印象的な映画で、カメラを止めるな!というものがあったが、映画監督はそれぞれの伝えたいことや情熱があって、もちろんそれに対する努力が山程裏にある方ばかりなのだろうけど、良いタイミングで金銭的な支援やその道の一流の方からフィードバックを貰えるチャンスなどがあり、ある種運のような要素がとても強い気がした。

テレビに関わっていた時にドキュメンタリー制作への携わりに関する部分はとてもおもしろく、誰も知らないのようにフェアな描写を描けるのはその辺りの経験が活きているのかなあなんて思いながら読んでいた。

また、脚本通りに進まない時に予想外の事が起きるのが楽しいのか、ドキュメンタリーでも、「仲良くなる→喧嘩する→仲直りする→涙を流して別れを惜しむ」などの番組の構成がある中で、こういった構成で無くなるとどうなるのだろうか、のようなストーリーや葛藤もとても面白かった。

表と裏があり、善と悪だけで見れない部分があるんだよという物事の理などを新興宗教への話や生活保護の話に触れていく中で身をもって理解し、人の優しさに触れ今の作品があるのだろうと思うととても貴重な存在なのだなあと思った。

各国の映画祭に関する話やティーチインでフランス人が描写に対する意味合いが何であったかの意見を求めてきたら、是枝監督の意見はそっちのけで観客達が自分の解釈を議論していくなど色んな国の人たちの映画の見方が知ることができて面白かった。

大学生の時に印象的なポスターでずっと気になっていた空気人形の話も触れられていた。ペ・ドゥナさんのとても美しい印象とその当時よく知らなかった空気人形というものにすいて描かれた映画でありとても観たかった(のだが結局今まで観ていない)。

そうそう、是枝監督がどうやら立命館で講義を行っていた。ちょうど同じタイミングで京都で大学生活を行っていたのだが、何回か潜り込もう潜り込もうと思っていながら結局行かず。また違う記事に書きたいのだが、京都や東京などの大学が密集した地域の特に私立の大学では今旬のスターが講義をやっていたりして、(大学の人からすると迷惑な話かもしれないが、、、)ぜひ機会があれば潜り込んでみると良いと思う。大学時代に安藤忠雄先生や、大竹伸朗さん、津田大介さんなどの講演や講義を聞きに行ったのはとても振り返ってみると財産である。

福山雅治さんや樹木希林さんなど親交のある方との作品も多く、その方たちが演ずるものと監督との表現がマッチしてもはや芸術作品のような印象もある。こういった作品の裏側を少し知れる文章や動画というのは現代にどこかに置いてあって誰でも少しのお金や無料で観たり聞いたり読んだりできるのはとても貴重な人類の財産だなあなんて思う。

こういった本を出し、世に是枝監督のその時その時の価値観や作品の背景を取りまとめてくれたミシマ社に感謝したい。(ミシマさんの講演もとても印象的で一撮入魂の本作りはいつも関心している。) 

何より、情熱を持って映画作りをし自身の価値観を世の中に生み出している是枝監督に感謝し、これまでの作品を振り返って鑑賞したいし、今後の活動をしっかり観ていきたい。

「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」。歩いても歩いてもに使われたコピーのようにどうやったら間に合ったと思われる人生になるのか考えているのだが、そういった感情の哀しみが少しずつ少なくなるように生活していきたいなと思った。

是枝監督の作品が沢山あるのはアマゾンプライム海街Diary海よりも深くそして父になるななどあります!

NetflixにもCoccoさんの大丈夫であるようになどあります!

是枝監督のその他の本も読みたくなってきちゃいます。

こうやって何か自分に新しい価値観を飲み会代にも満たない値段で楽しめてしまう本や映画はとても貴重な文化遺産だなあと改めて思いました。