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ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望 | 成功の原則 | 2021年書評#8

8現在の企業・投資家として最も成功している人間の一人ピーター・ティールについて書かれた本書。インターネットに多くの記事があり思想家としての一面や一風変わった視点から注目を浴びているが、あまり知らなかったため本書を読んだ。

📒 Impression and Review | 感想

📖書籍リンク

シリコンバレーで最も影響力のある人間の一人であるピーター・ティール。

自著のZero to Oneや様々なところで語られているピーター・ティールについて書かれた本の一つ。

ペイパルの共同創業者であり、ペイパル時代はイーロン・マスク、リード・ホフマン、ジェレミーストッペルマン、など今のシリコンバレーを代表する企業創設者とともに働き、投資家としてはFacebookの創業を支える投資を行っている。

ゴリゴリにテクノロジー出身かというと哲学を勉強しておりロースクール出身でありながらもスタンフォードからシリコンバレーで企業するという異色の経歴でありながら、今もなおシリコンバレーに大きな影響を与え続けている。

ティールは仕事をする際に友達のように仲良い密な関係になれるかを大事にするようで、ペイパル創業のメンバーの多くはスタンフォードレビューで仲間であった編集長や編集者が多く名を連ねる。イーロン・マスクは当時ライバル企業であったXドットコムから合併とともにともに働くようになります。

ティールのバックグラウンドがコンピューターサイエンスではなく哲学で有り、起業や投資の哲学構築にあたりその背景がとてもいきているように思う。

課題の発見、チームの構築、投資意思決定など技術アプローチだけではない判断基準が成功の秘訣のように思う。

ペイパル立ち上げに関しても、金融業界の長年の悩みは暗号化だということを知っていたティールは失敗した投資先の友人マックスレフチンが持つ暗号化技術に目をつけます。

投資を得るために緻密な演出で投資を獲得し、初期のチームはスタンフォードの繋がりで長く付き合える人間があつまり、まずe-bayというプラットフォームに特化してクレジットカードがなくても決済できる仕組みをメールアドレスと銀行口座だけで実施できる決済システムを作り上げます。

課題の見つけ方やチームの関係性などの哲学がピーター・ティールという人間の最大の強みであるように思います。またそれは投資面でも同じで、バズワードを避けろ、長期的な成長性、硬い友情などを重視して投資先を選ぶようです。 ピーター・ティールが投資した企業はFB、Paypal、PLTRを始め大きな成長を遂げている企業が多くあります。

10 Best Investments of Billionaire Peter Thiel

投資先評価について、PERを利益成長率で割るPEGレシオを重視し、PEGレシオが1以下の企業を好みます。また、成長率と割引率から企業の継続性について評価。SP500を構成する500社についても言及しており、この15年間でインデックスを構成する500社のなんと52%が消えており平均寿命はかつて61年だったのに2015年には平均寿命が17年まで短く競争の激しさを物語っています。

こうみると改めインデックス投資は手間いらずの最高の選択であるなとも感じられます。

ピーター・ティールは政治にも大きく影響を与え、トランプが選ばれた大統領選では共和党が行う政策により強い成長が期待できると逆張りしトランプに多額の資金を援助しました。

今後注目しているものとしては、教育を変える、ヘルスケアを変える、行政機関を変える、エネルギーを変える、と各分野にも精力的に取り組んでいます。

成功の裏には、哲学的思考や社会課題発見能力、そのためにどういった技術が役に立つのかという技術に対する明るさなど緻密に存在していることが垣間見れる良い読み物であると思った。

スタートアップが失敗する5つの原因

  1. イデアが時期尚早だった
  2. イデアが時期的におそすぎた
  3. イデアに意味がない
  4. イデアが高くつきすぎる
  5. イデアにこれといったメリットがない

重要なのはとりくみのにふさわしい課題を解決する

スタートアップの10ルール

  1. きみは自分の人生の起業家である
  2. 1つのことを、他の人を寄せ付けないほどうまくやろう
  3. きみの人生と会社に、自分と結びつきのある人を的確に配置しよう。互いに補い合える相手と組もう
  4. 独占をめざそう。競争からはさっさと見を引き、他社との競合を避けよう
  5. フェイク起業家になるな
  6. ステータスや評判だけを基準に評価するな。ステータスに惑わされて下した決定は長続きせず、価値がない
  7. 競争は負け犬がするもの。まわりの人間を倒すことに夢中になってしまうと、もっとも価値があるものを求める長期的な視野が失われてしまう
  8. トレンドは過大評価されがちだ。最新ホットトレンドに飛びついてはならない
  9. 過去に執着するな。なぜ失敗したのかすばやく分析し、あとは前を見て、方向を修正していこう
  10. 成功に通じる秘密の扉を探そう。その他大勢がすることを真似してはいけない

💡How the Book Changed Me | この本を読んで

  • 哲学的な思考が事業発展や投資成功に結びついており、時に人と異なる判断でも恐れずに実施できる姿勢がすごい
  • チームとの関係性や取り込む物事の意味合いについて参考になる部分が多く、バズワードを追いかけたり短絡的な物事をすると成功から遠ざかるように感じた
  • 本書の出てきた関連書籍が面白そうであり、SFも多く読んでみたい
  • ペイパルやテスラではアジャイル方式の開発が成功を導いていたためアジャイルの勉強をする

✍️ Quotes | 印象的な文章

  • 複利効果は私達の宇宙でもっとも強大な力である。金融や貨幣の話にとどまらず、不変の友情や長期的な関係を築くことに時間を投資することによって、人生最高の利益が得られる
  • 人間は模倣から逃れることはできない

📚 Relating Books | 関連本・Web

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  2. インターネット激動の1000日 https://amzn.to/3i3H7uP
  3. 世の初めから隠されていること https://amzn.to/3lT8Csd
  4. ペイパル戦争 https://amzn.to/3kD2lBn
  5. 倒壊する巨塔 https://amzn.to/3kFbdGJ
  6. スノウ・クラッシュ https://amzn.to/2Zk8ien
  7. 多様性の神話 https://amzn.to/3zJcCjQ
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