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強いチームはオフィスを捨てる | ジェイソン フリード (著), デイヴィッド ハイネマイヤー ハンソン (著) 高橋 璃子 (翻訳) | 2022年書評#7

前回のNo Hard Work!に引き続き、ベースキャンプのREMOTE、強いチームはオフィスを捨てるを読みました。こちらの本は以前に読んだことありましたが、このリモートワーク全盛期で読み直してみたくなり再読になります。

今や働き方革命全盛期です。会議システムはZoomやマイクロソフトTeams、電話システムも多くあり、パソコンも一人一台所有しています。ファイル共有ソフトも多くあり、VPNを用いた社内フォルダへのアクセスも環境が整ってきています。

リモートワークの認知度も一昔前より格段に上がり、いまや面談していたころよりもアポ設定がスムーズで会議の質なども上がってきているように思います。

本書が書かれたのは2014年ころなので、リモートワークは日本では都市伝説並みに認知度は低く、大企業になればなるほど取り組んでいるところは少なかったように思います。

そんな時代の本でありますが、リモートワークのマインドセットについてとてもよく書かれていますので、読み返して気づきも少なくなかったように思います。

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📒 Summary + Notes | まとめノート

Before COVID-19の世界

前回の書評と同じベースキャンプ(前37signals)のジェイソン・フリードとデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンによるリモートワークのススメ本です。原著は本題が「REMOTE」とストレートですが、邦訳にあたりタイトル表現が変化していますね。

本書が出版されたのは2014年。この時点で声を大にしてリモートワークを勧めていたのが著者たちの会社ベースキャンプになります。

この時のリモートワークってどこかファッション的な要素がある印象でしたが、コロナが始まりすっかりリモートワークが普及しました。もちろん業種によりますが、今までリモートで良かったのでは、と思えるぐらいにまで馴染みました。

自身の体験として、そもそも年中出張で家にいる時間がとても少なかったのですが、移動時間がなくなったために家事やAmazonの受け取りも仕事の合間にできて休日はより余裕を持って過ごす事ができますし、旅行しながら仕事もできるために、ホテルでいつもと違う景色を見ながらリフレッシュしながら仕事ができています。

出張がなくなった大きな要素に客先側のいわゆる大企業と呼ばれる企業が続々とマイクロソフトTeamsを採用し始めてくれたために、リモートワーク文化がツール含め共通認識として拡がったことはとても大きかったように思います。

なぜリモートワークか?

人は時間が細切れになると同じ合計1時間でも効率が落ちてしまいます。オフィスはあなたの仕事を細切れにする罠が沢山あり、話しかけられたり、電話、会議は仕事を阻害する要素になっているでしょう。

また、通勤時間もそうです。渋滞を運転したり、満員電車に乗る時間が無かったらどれほど良いことか。週末になれば洗濯をし、平日受け取れなかったクリーニングを受け取るなんてしていたら1日が終わってしまいます。

リモートワークができればあなたは住む場所も気にすることはないでしょう。都会の人混みの生活ではなく自然が豊かな土地で暮らすこともできます。リタイアを待って旅行や移住をしたいなんて思っているのではなく、今してしまう、という選択肢が持てるのです。

IBMは既にリモートワークを始めており、不要となったオフィスの不動産費用は減り、賃貸料を得ることさえしています。

オフィスでないとできないは嘘

上司が見張っていないといけない、セキュリティの問題、アイデアは会議で生まれる、リモートワークに移行しない言い訳は沢山でてきます。

JCペニーでは従業員4800人のインターネット接続状況を調査したところ、会社にいようがおよそ30%がYoutubeを見ている事がわかりました。会社に居ようがリモートしていようが怠ける人は怠けています。信頼できない部下と仕事をすることが問題であって、リモートワークは問題ではないようですね。

リモートばかりになるとオフィス費用がもったいないとサンクコストを棚に上げることもあるでしょう。オフィスを使うかどうかよりも、成果が上がるかどうかが大事なので、既に支払ってしまったオフィス費用についてに悩むべきなのか、立ち止まって考える必要がありそうです。

本書を読み返していて驚いたことの一つに、すでにリモートワークを実践している企業に多くの企業の例が書いてることです。

アメリカ含め変化に寛容で自身がコントロールできる物事を増やしていくことにオープンな欧米カルチャーは、新しいことに対する対応力が高く、日本が色々と遅れて実行する側になるというのを改めて感じますね。

リモートワークの落とし穴

リモートワークはいいとこばかり!なんて話でもありません。家では仕事との切り替えがしにくかったり、孤独を感じることもしばしば。運動不足や家の外に出ない、なんてことも起きてしまいます。顔をあわせたり様子を見て存在を確認できないのも問題となり得ます。

ただ、ちゃんと考えてみると、これらの落とし穴は解決可能なことばかりです。チャットツールで雑談をするシステムを作ったり、午前中やお昼には家の外のカフェで仕事してみるのもいいでしょう。ウェブ上で進捗がわかれば、存在を確認できなくても仕事の進捗で仕事しているかがわかります。

顧客に対する仕事の進捗もリアルタイムでフィードバックや要望を得るようにすれば、より一体感のある仕事も可能です。

人材採用とマネジメント

リモートワークが可能な場合、人材採用の幅が広がります。パートナーの転職をきっかけに離職してしまわなければいけない…なんてことも無いです。優秀な人材と引き続き仕事ができますよね。

リモートワークではより人柄が重視されると本書では言います。見えないからこそより人間性が大事で、「いやな言葉」「感情的な対立」など無いようにマネジメントしていくことはとても大切です。

ベースキャンプでは最初からリモートワークができるために人材採用時には、選考の後半になるとオフィスへ正体しランチを食べ、人柄を見ると言います。またオフィス内でフリーに過ごしてもらい、手伝うのもよし、見ているだけでも良し、同僚と時間を過ごしてもらうようにします。

面接でのなぞなぞのような質問は避けて、実際に働いてもらう前に短期で仕事をしてもらうことで能力を判断したり人柄をみたり、採用に工夫を凝らしています。

リモートワークのマネジメントでは、年に数回は直接会う機会を設けて、会社の方向性などはその時にシェアします。

沢山のプログラミング言語オープンソースという完全リモートの環境下で育てられてきました。自発的に仕事へ取り組める環境やモチベーション、透明性のあるプロジェクト管理や意思決定などオープンソースから学ぶことはとても多いですね。

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