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成功は一日で捨て去れ | 柳井 正 (著) | 2022年書評#19

前回に引き続き柳井正さん本になります。

📒 Summary + Notes | まとめノート

一勝九敗に続いて成功は一日で捨て去れを読みました。本書は一度勢いを失ったファーストリテイリングをどう立て直していくか、という話を中心に書いてあります。

柳井正さんのスタンスとしてはガンガン挑戦し常に失敗、成功を繰り返しながら自己反省し成長していこうという感じで、多くの実行を繰り返しています。

成功の方程式は無い、またはすぐに古くなるとして常に変化していくことの重要性をときます。

サラリーマン生活をしていると、変化に億劫になり挑戦も減り、また環境の変化もなくなるということが有る種自然になっていきます。

もちろんどちらが良いか悪いかは各個人で違うとは思うものの、変化して成長していくということを考えると柳井正さんのようなガツガツしたスタンスというのはとても勉強になるように思いました。

安定志向の罠

前作の一勝九敗を書いたのは2003年、ファーストリテイリングの成長が素晴らしい時期であり、本著は2009年。一度退いた社長の座に戻り数年経った後のことです。

その間にファーストリテイリングは「増収減益」でありユニクロの歯車が狂い始めていた時期がありました。

社長交代を期に方針は「安定成長」の考え方が増えたようで、堅実な仕事が多くなります。「会社を危険に晒したくない」という考えもよくみられたようで、一方、柳井正さんは時にはリスクを取る判断も大切と考えていたようです。

会長としてファーストリテイリングに居る際には多くのM&Aを実施する一方で、GAPやH&MZARAなどの海外ブランドの台頭がありました。

結果的に安定成長はあり得るが、最初から安定成長を望んではいけない、と言います。

読んでみると、柳井正さんの元で働くのは会社員として大変そうだなと思う一方、多くの挑戦をする環境は刺激的に読んでいて思います。正月に全社員へ送る決意表明も情熱のこもったもので、本書内に全文が載せられています。

考えるといい方向へ向かっている限り、社長は多少振り回すぐらいの覚悟がある人のほうが会社としてうまくいくように感じますね。

第二創業」の悪戦苦闘

社長へ返り咲いた後には着々と課題へ取り組みます。経営者を育てることの難しさ、サラリーマン社会の閉塞感、温室育ち世代の戦争を知らない世代、組織の肥大化、教科書的な判断の仕方しかできないことなど問題としてあげています。

まず始めた改革は生産部からであったそうです。当時のユニクロは工場への発注を突然生産中止にしたり、生産量を2倍にしたりと信頼関係をなくすような発注をしていたようです。お互いにとってよりよい形になるように計画、キャパの確認を徹底します。

「成功」は捨て去れ

その後ユニクロヒートテック、ブラトップなどでヒットを生みます。ヒットの要因には東レとパートナーシップであったり、新しい領域の需要を発見したからです。

興味深かった話は商品を企画する段階で売れる要素を予測するのは不可能である、という話がありました。科学的・分析的なアプローチとアートに近い感覚的アプローチの2つがあり、それを融合して考えることが大事と言います。そういう意味では、機能性のあるものもエモーショナルな広告などが組み合わさりヒットにつながるなどもありそうですね。

成功に方程式はなく、つねに現実で起きていることを自分の感性で見て判断し、かつ論理的・分析的にすすめる。その2つの総和と統合が必要とのことです。

次世代の経営者へ

最近多くの話題を集めているジルサンダーとの契約は2009年から始まります。1年ほどかけて契約までこぎつけ、+jのラインが作られました。アリババグループとの提携しオンライン販売の売上も伸びます。

広告で話題になったのは「ユニクロック」。

世界三大広告賞で二冠達成、ユニクロのキャンペーンサイト「UNIQLOCK」

また、経営者育成機関の作成もし次世代の経営者を育てる試みも始めます。

未来のファーストリテイリングをつくる、トップ直結の経営者人材育成機関|株式会社 ファーストリテイリング

 

Fast Retailing Way

Statment

服を変え、常識を変え、世界を変えていく

Mission

  • 本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
  • 独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します

Value

  • お客様の立場に立脚
  • 革新と挑戦
  • 個の尊重、会社と個人の成長
  • 正しさへのこだわり

Principle

  • お客様のために、あらゆる活動を行います
  • 卓越性を追求し、最高水準を目指します
  • 多様性を活かし、チームワークによって高い成果を上げます
  • 何事もスピーディに実行します
  • 現場・現物・現実に基づき、リアルなビジネス活動を行います
  • 高い倫理観を持った地球市民として行動します

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/3J3FLf7 仕事学のすすめ 2009年6ー7月 (NHK知る楽/木) ムック – 2009/5/1 柳井 正 (著), 日本放送協会 (編さん), 日本放送出版協会 (編さん)
  2. https://amzn.to/3sXdhhE ドラッカー名著集2 現代の経営[上] 8th 版, Kindle版 P F ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)