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一勝九敗 | 柳井 正 (著) | 2022年書評#18

ユニクロ創業者の柳井正さんの著者を読みました。

2003年に書かれた本著ですがとても素晴らしく、マインドセットとして重要な視点が多くありました。

以前読んだジェフ・ベゾス本に近い内容も多くスピードと実行の重要性を改めて感じました。

ohtanao.hatenablog.com

 

📒 Summary + Notes | まとめノート

ユニクロで知られるファーストリテイリング柳井正さんの著書一勝九敗を読みました。

本著の中で出てきたCMは子供の時でしたが印象に残っている、返品どんな理由でも承りますが懐かしいです。

2003年に書かれた著書ですが、今のUNIQLOの躍進が理解できるような良い企業文化を持った会社である理由がわかった気がします。

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ユニクロができるまで

ユニクロの前進は柳井氏の父親が行っていたメンズショップ小郡商事。おもにスーツを売る紳士服屋さんの息子でした。山口で生まれ育った柳井氏は大学入学を期に状況、早稲田大学へ通います。当時は学生運動も多くヒッピー文化もあり、4年間フラフラと生活しその後にイオンに入社。

その後、父親の事業を継ぎに戻るとジャスコで経験した効率よい体勢にシフトしようとすると働いていた人が次々に辞めてしまいます。

カジュアルウェアの流行りを見て、スーツだけでない品揃えを始め海外から好きな商品を買付して販売していきます。その際にアメリカの大学生協にあるすっと入れて、気兼ねなく選べ、豊富な品揃えである「ヘルプユアセルフ」文化に感銘を受け「いつでも服を選べる巨大な倉庫」という意味も込め「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」という店名でカジュアルウェアを広島の裏通りで開始します。

そのうちに買付にとどまらず自分たちで良い服を良い品質で作るべく中国での製造を始めます。最初は結局値下げ商品が多くなり、思ったよりうまくは行きませんでした。

株式公開へ向け

それでもなおFC展開を実施し、株式公開を目指す形となります。株式公開へ向けて動き出す流れが結構詳しく書いてあり、経営計画の作成、透明性を持つために会社関係の整理を実施し株主へ信頼してもらえる体勢を整えていきます。今まで借り入れをしていた銀行は成長を臨まない堅実な資金繰りをアドバイスされますが、株式公開のためにアンバランスな急速な成長を目指します。

今となってはユニクロのEC戦略や無人レジなどどこの小売よりもITを活用している印象がありますが、当時から情報システムの整備を実施しPOSシステムも早くから導入していました。

広島証券取引所へ上場すると、その後も順調に拡大をすすめ関東へも進出。その後ユニクロの「なんとなくダサい」のような印象を払拭すべく、「3ヶ月以内は返品」「広告商品の品切れ防止」「クリンネスの徹底」などユニクロブランドを作り出し、デザインも強化していきます。

広告戦略

前出のおばちゃんが脱いで返品を頼むといった印象的なCMを1994年に流します。作成は電通キンチョール富士通のCMを作成していたチーム。CMは途中で打ち切りとなりましたが十分な認知度アップをすることができました。

フリースのCMもまた印象的なものでした。制作はナイキのCMも担当していたワイデン&クリエイターのジョン・ジェイ氏。タナカノリユキ氏とのコンビは数々のヒット作を生み出します。

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ユニクロの理念から深く理解していたジョン・ジェイ氏は音をたてない静かなCMで「テレビを見ている人たちをもっと尊敬して、彼らのインテリジェンスに期待すべきだ。だから値段のことをしゃべる必要はない。これでぼくらの言いたいことは必ず伝わる」と山崎まさよしのCMを世に出します。

売上の効果よりも、ブランド価値を高めるとても良いCMになったと言います。

このCMを調べていたら他にも思い出深いユニクロのCMをいくつか見つけ、このようにドラマのような美しい表現を行っているCMは当時かなり少なかったように思います。

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フリースを期に一気にブレイクしたものの、フリースのブームが終わると売上はとまりはじめ次のステージへと進みます。

企業文化創造

企業文化に関わる部分では、企業の成長や理想の働き方を追求する姿勢が見られます。

インターネット組織を目指し、階層の少ない組織を構築。

マニュアルから時に逸脱することも良しとし、各店舗が自律的にただしそこには報酬のフィードバックもつくりモチベーションが出るような仕組みづくりをします。

以前ユニクロの給与が書かれた広告が話題になりましたが、会社員ながらに夢があるように思います。

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女性社員や多様な背景の働き手も考慮されており、今でもユニクロは多様なスタッフが働いている印象は変わりません。

働く側からすると、ハードそうでありある意味「らくして働く」という環境では無いかもしれませんが、フラットで柔軟性のある組織構造でありつつ、小売業でありながら高収入帯がありえるというのは良い環境に思います。日本らしくない感じが良いですね。

また、失敗を許容する文化もあり、早く失敗してダメであることを認識し改善しなければならないと言っています。これは以前読んだジェフ・ベゾスの本にも似たようなことが書いてあった気がしますね。イギリスでの出店で、店舗数を追い失敗した話も印象的です。

商売の基本は「スピード」と「実行」。会社名のファストリテイリングにもあるようにスピードは重要視していることの一つです。早く失敗し、気が付き、工夫をするようにする。計画や勉強ばかり熱心にし、何も実行しないことはよくなく、実行し失敗しても実行し続けなければならないと言います。

ユニクロほど変化している企業は中々無いのではと思えますし、またその変化の方向性がとても素晴らしくいつも店舗利用やEC利用して感じます。

以前、無人レジの制度をめぐり裁判などはありましたが、今後ユニクロがどのように変化していくのか楽しみですね。

経営理念23箇条

  1. 顧客の要望に応え、顧客を創造する経営
  2. 良いアイデアを実行し、世の中を動かし、社会を変革し、社会に貢献する経営
  3. いかなる企業の傘の中にも入らない自主独立の経営
  4. 現実を直視し、時代に適応し、自ら能動的に変化する経営
  5. 社員ひとりひとりが自活し、自省し、柔軟な組織の中で個人ひとりひとりの尊重とチームワークを再重視する経営
  6. 世界中の才能を活用し、自社独自のIDを確立し、若者支持率No.1の商品、業態を開発する、真に国際化できる経営
  7. 唯一、顧客との直接接点が商品と売り場であることを徹底的認識した、商品・売場中心の経営
  8. 全社最適、全社員一致協力、全部門連動体制の経営
  9. スピード、やる気、革新、実行力の経営
  10. 公明正大、信賞必罰、完全実力主義の経営
  11. 管理能力の質的アップをし、無駄を徹底排除し、採算を常に考えた、高効率・後配分の経営
  12. 成功・失敗の情報を具体的に徹底分析し、記憶し、次の実行の参考にする経営
  13. 積極的にチャレンジし、困難を、競争を回避しない経営
  14. プロ意識に徹して、実績で勝負して勝つ経営
  15. 一貫性のある長期ビジョンを全員で共有し、正しいこと、小さいこと、基本を確実に行い、正しい方向で忍耐強く最後まで努力する経営
  16. 商品そのものよりも企業姿勢を買ってもらう、感受性の鋭い、物事の表面よりも本質を追求する経営
  17. いつもプラス発想し、先行投資し、未来に希望を持ち、活性化する経営
  18. 明確な目標、目的、コンセプトを全社、チーム、個人が持つ経営
  19. 自社の事業、自分の仕事について最高レベルの倫理を要求する経営
  20. 自分が自分に対して最大の批判者になり、自分の行動と姿勢を改革する自己革新力のある経営
  21. 人種、国籍、年齢、男女等あらゆる差別をなくす経営
  22. 相乗効果のある新規事業を開発し、その分野でNo.1になる経営
  23. 仕事をするために組織があり、顧客の要望に応えるために社員、取引先が有ることを徹底認識した壁のないプロジェクト主義の経営