お金の話はいつもまでも話が尽きないものです。昔よりも貧困になった、年金世代は払った額よりも沢山もらって優遇されている、給与は同じなのに手取りが減っている、などと日々ニュースでも言われています。富裕層は富裕層で、タワマンの○○階以上じゃないと…などという話もあれば、日本の税金は高くてダメだと海外在住勢が言う。良くも悪くも世界が可視化され人々の繋がりが増えたからこその悩みも増えたように思います。
そんな中でお金について教養をつけようじゃないかというのが本書。知る、使う、貯める、殖やす、稼ぐ、の5つについて大枠を知ることができる本になっております。
📒 Summary + Notes | まとめノート
知る
お金儲けのネタは本当の価値を「知っている人」と「知らない人」のギャップの中に潜んでいます。リテラシーと呼ばれる力が無いと儲け話だけでなく物事の見極める能力がなくなってしまいます。何事も2つのステップが重要です。
- 政府やきちんとした民間の調査機関が集計・分析したデータ(数字・ファクト)を探す
- そのデータをもとにして、偏見を持たずにロジック(論理)を組み立てる
世の中で中々お金について勉強できる機会は少ないために、お金に関わる話のファクトを探す、ロジックを組み立てる訓練が必要です。
例えば、日本の借金が増えているけども大丈夫なのか?などは国債との紐づけや、国債の買い手を認識することで中身を理解することができます。国債がデフォルトすると銀行も連鎖破綻してきっと日本はめちゃくちゃになるでしょう。(起こらないとは言い切れませんが起こりにく事象)
世代間格差や年金問題なども世の中不安だらけです。この不安を解決する方法は知ること、そして自分の行動でどうにもならない不安に関しては考えても無駄なものもあります。
- お金に苦労する人は、データを見ず、自分で考えない人です。
- お金に振り回される人は、考えても仕方がないことを考える人です。
- お金で損をする人は、与えられた情報を鵜呑みにする人です。
使う
お金を使う中で知っておくべきことはまずいくら給与があるのか知ることからです。まず3つ給与で確認することを進めています。
- 額面の金額は職場との約束どおりになっているか
- 税金、社会保険料などいくら引かれているか
- 税金が引かれた結果、手取りでいくらもらっているか
これらを財産三分法で大別します。
財布:日常で使うお金
投資:なくなってもいいお金
預金:流動性の高いお金
お金は、お金そのものに価値があるのではなく、何かと交換したときに、はじめて価値が生まれるものです(効用)。出口さんがおすすめする使い方は「人・本・旅」です。これらが人生を豊かにするものと紹介されています。
もちろんお金の使い方は人それぞれなので正解は無いですが、使って幸せにならない使い方を避けて効用が得られるものに使うように心がけましょう。
貯める
貯めることが必ずしも良いことでは無いですし、東京都の死亡者の平均貯金額が3000万円もあると言われており若いうちに使っておいた方が良かったものも多くある可能性があります。
貯めるためには人生のプランによってお金がかかるときの準備と捉えておくのが良いでしょう。
本書で紹介されているのは子どもができた時に念頭に入れておきたい費用に①出産費用②保育料③幼稚園以降の学費が紹介されています。これらも様々なセーフティーネットがありますし、費用がかなり抑えられる控除もあります。
保険のプロとして書かれているものに、保険と貯金は区別して保険は掛け捨てを勧められています。というのも貯蓄を期待して掛け捨てでない保険商品が沢山あるのですが、基本的には保険会社の経費として多く差し引かれますし、レバレッジも効かない、ゼロ金利下では複利効果も薄いです。保険機能だけに焦点を当てた掛け捨て保険に加入するほうが良いとされます。20代に紹介されているのは就業不能保険でした。
また、親の介護費も大きな問題であります。これもまた保険のプロとしての視点ですが3点は予め健康なうちに確認しておきたいとして挙げられています。
- 重要書類の保管場所
- お葬式の希望
- 延命処理をしてほしいかどうか
殖やす(投資)
出口さんが最もおすすめするのは自分への投資です。どんな投資商品に投資するよりも成長率が高い投資先になります。いまより人生の選択肢が増えそう、賢くなりそうなものであれば何でも良いので好きなものから手を付けてみるのが良いと言います。
金融商品への投資については3つの原則を基本として考えることをすすめています。
- ポートフォリオを作る
- 成長するものに投資する
- 長期投資で考える
投資ビギナーであれば、投資信託をドルコスト平均法でコツコツ買いましていくことが一番良いでしょう。
稼ぐ
稼ぐ部分については比較的さらっと書かれており、まとめると労働不足状態に陥るので比較的仕事の席は空いてくるので概ねの心配はなくて良い。年功序列なども撤廃せざるを得ないようになってきて実力主義化はやむを得ないので実力をつける。
ブラック企業からはすぐに夜逃げする。などでした。
感想
ライトに読めてお金にの悩みを抱えている人にとっては読みやすさも含め、とても刺さる部分も多く良い本だったように思います。社会人になりたての頃や、卒業間近の学生などに取って一番刺さる気がします。
知ることに対して①正しく調べること②自分で考えることの重要性を問いていた部分はいつのタイミングでも自問したいことで、唯一の不安を解消できる方法でもあると思っています。最近は本当に知るということのハードルが下がり、有象無象の情報に接触してしまうために、正しく知るということに注意をしないといけないように感じます。
また、本書内でもありましたが、英語の唯一身につける方法は時間をかけて勉強していくことなのに、世の中には短時間でこれさえ身につければ英語ができるようになりました!のような情報があり、元来人はそういったものに惹かれてしまうという性質が紹介されていました。
世の中にはこういった、ラクして上手くいく系の夢物語が溢れているので、そういった誘惑から離れる癖をつけるのも大事かなと思いました。