かなり昔に読んだ本を書評のために再読しました。投資を始めたときに経済について全体的にしっておきたいなと思い読んだ本ですが、基本的な事を幅広くというようなイメージでわかりやすさを持って初学者に向けて書いた本という印象です。
各事象に対しての細かな主張や見解、学術的意見などは記載が少ない印象は受けますが一読してみるのは言いように思いました。
📒 Summary + Notes | まとめノート
経済学とは何か?
経済学におけるもっとも基本的な問いは3つ
- 何を社会は生み出すべきか?
- どうやってそれを生み出すのか?
- 生み出されたものを誰が消費するのか?
経済学を理解するための4つの考え方
最初の3つの問に対して、分業制度に注目する。鉛筆を作るのにすべての工程を一人でするのではなく、材料は別々のところから、工程は別々の工程で作られる分業をすることにより規模の経済が生まれます。分業は国をまたぐ事が多くなってきたのが現代であり、政策により国がコントロールすることもあります。
需要曲線と供給曲線による均衡点により価格が決まると言われています。
需要曲線がシフトするのは大きく以下。
- 社会全体で所得水準が上がったとき
- 人口が増えたとき
- 流行や好みが変化したとき
- 代替品の価格が変化したとき
供給が変化するのは以下。
- 技術が進歩したとき
- 転校などの自然環境が変化したとき
- 投入物の価格が変化したとき
政府は農家が価格低下競争で困らないために下限価格を設けたり、家賃の上限価格を設けたりすることで市場の価格をコントロールする手助けができます。
価格の弾力性・非弾力性
価格の規制を考えるとき価格の弾力性を考慮します。タバコなどの価格変動があっても需要が変化しないようなものは弾力性が低く、オレンジジュースなど価格変動させると他商品に流れるようなものを弾力性が高いと言います。
ガソリンなどは短期的には価格変動に対応できないものの、長期的には車の買い替えなどによりガソリン需要が変動することから、短期的には非弾力であるが長期的に弾力であるとされます。
同じようなものに労働があります。労働は短期的には簡単に人をクビにできたりしないですが、長期的には設備投資などにより人数を調整できます。フルタイムとパートタイムの仕事が存在するのは、弾力性が異なるためになります。
資本主義
資本主義社会下では利子が存在します。利子は高くなると借り控えが起きるために需要は下がり、低くなると借りやすくなるため需要は上がります。企業は低金利下で設備投資などのためにお金を借りやすく、人は住宅ローンなどが借りやすくなります。
企業の資金調達方法には①内部留保の活用②銀行の融資と債権の発行③株式の発行と大きく3種類であり金利の影響により②の部分は大きく変化します。
アメリカにおいて資本主義による競争社会では、競争を適正化しようと言うことで独占の禁止や半トラスト法などがあります。ただし、デュポンやマイクロソフトの件で本書で紹介されているようにその判断基準は主張や社会情勢に影響される。
政府は規制と規制緩和のバランスがとても重要になります。規制があることにより急速な進歩が止められてしまうケースもあり、インフラなどの大規模設備が必要なものは規制が有効に機能することもあります。現在通信や電気の規制を解除し始めて自由化が始まるなど適切なタイミングで適切な試みが必要とされます。
政府の規制の難しさに貧困と福祉があります。アメリカでは女性のひとり親に貧困層が多く、また貧困層は援助を受けると頑張る気力が削がれるという傾向があるようです。働くことにより貧困ラインを上回り援助がなくなるとかえって働き損となってしまう事があり、「負の所得税」と呼ばれています。
ミシガン大学の調査(PSID)によるとアメリカは格差が広がった国であり、拡大傾向にあります。この30年の間に大きな技術の進歩があったために、生産性の高い労働者にはより需要が高まったために起きたとされています。またグローバル化により低賃金で働くひとが新興国から来たことにより低技能労働者の需要は減りました。格差は問題とされ格差を減らすためには高所得者から税金をより徴収することや低所得層の生活を補助したり改善することが考えられます。
まとめ
- 市場は、かぎられた資源を配分するための非常によくできたしくみである。
- 市場のしくみは、うまくいかないときもある。
- 政府は市場の問題を解決するうえで大事な役割を負っている。
経済を考えるうえでもっとも大事なのは、プラグマティックになること。
感想
Amazonのレビューをちらっと見たのですが全体的には初学者向けというようなコメントが見受けられました。自身の感想も同様で割と初学者向けに思います。
英語版のレビューを見てみると英語の勉強用としてとても良いとコメントがあります。確かにセクションが10頁ぐらいなものをつなぎ合わせて一冊になっているのでとても読みやすい気がします。
本書と同じ内容がYoutubeにもあるので読むのが辛い人は動画で見るのも良いように思います。
内容は程よく面白くとてもわかり易いので、高校生や大学生なりたてなどの人にはとてもおすすめですし、社会人にもバランスよく読めるように思いました。一方で経済学を学んでいる人からすると物足りなさもあるのかな?というように感じます。
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- https://amzn.to/3NqPjVW 経済社会の形成 原著第12版 単行本(ソフトカバー) – 2014/4/22 Robert Heilbroner (著), William Milberg (著), 菅原 歩 (翻訳)
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