忙しさに忙殺されがちな日本社会にて、著者の樺沢さんも医局在籍時は中々忙しい生活をしていました。診察など5時までは業務を実施しその後実験をして11時にすべてが終わり帰宅する生活。論文を書こうとしても1時間で5行しかかけない状態でした。
若い医者はよく郊外の病院へバイトに行くのですがその当直時に論文を書いているとスラスラとかける事に気が付きます。
午前中の身体も頭も疲れていない状態に集中力が必要な仕事をすることでいつもの何倍もの効率が生まれる事がわかり集中力を中心に一日のスケジュールを考える事を始めます。
📒 Summary + Notes | まとめノート
4つの原則
集中力とは
脳のゴールデンタイムは午前中。集中時間にはクリエイティブな仕事やミスができない仕事、非集中時間にはメールや電話、資料に目を通したり、会議などをするという組み立てをします。
集中力を高めるの方法など聞きますが、プロのスポーツ選手でも普段できている事ができなくなるときがあるように集中力を高めて維持する事は一般人には難しい事です。集中力を高めるのではなく、集中力が高い時間に必要なことをする、というアプローチが本書の内容です。
集中力の高い時間は主に下記です。
- 起床時間の2〜3時間
- 休憩した直後
- 終業間際の時間帯:締め切り効果
- 締切の前日
予定を考える時は次を意識しましょう。
- 仕事の種類を「集中仕事」「非集中仕事」の2つに分ける
- 「集中仕事」を朝に持ってくる
- 朝の時間は夜の4倍の価値がある
- 変に集中力を高めようとしない
集中力のリセット
集中力は朝から就業にかけて落ちていくものです。ここで、落ち方を和らげたり一度回復させる方法はないかと考えます。
集中力(仕事効率)×時間=仕事量
集中力を取り戻す方法は主に2つ。これらを活用しているのはシエスタや昼の散歩などです。
- 睡眠
- 有酸素運動
アメリカ式の効率
著者がアメリカ留学中に5時に帰宅する文化を体験します。そんなに早く帰って何をするのか聞くと「家族とご飯を食べる」とのこと。この楽しみを活力として仕事を5時までに終わらせる集中をする。
OECDの報告によると日本は労働生産性最下位付近です。日本は労働生産性を上げる余地がまだまだ残っています。
自己投資の時間を持つ
自己投資をすることで仕事の質を上げる事もできますし、それにより仕事の効率も上げる事ができます。時間術によって得られた時間は受動的娯楽に使うのではなく、能動的娯楽を使い楽しいと感じられる時間にしましょう。
そもそもこれらの目的は人生を謳歌することです。アメリカ人の人生は樺沢さんにとってとても人生を謳歌しているように見えました。
集中力を高めるコツ
-
集中力の区切り単位(15分、45分、90分)
同時通訳など集中力を要する人は15分ごとに入れ替わり集中力が最大の状態で仕事するため、15分を1ブロックで考える
-
雑念排除
仕事の邪魔する物事を排除する事が大事。ものが目に入ること。探しものに時間がかからないこと。頭の中の雑念は一度メモして忘れる。人に邪魔されない環境、集中空間。通信機器による雑念排除
-
制限時間仕事術
締め切りがあると集中力が高まります。(ノルアドレナリンの分泌)ストップウォッチの活用。
朝から昼にかけて
- 気象直後は脳のゴールデンタイム。6時、7時台は最も集中力が高い時間帯。
- 始業直後の30分は夜の2時間分
- 朝のスッキリには「朝シャワー」「カーテンを開けて目覚めと共に日を浴びる」「咀嚼する」
- やってはいけないことはテレビを見ること
- 外出ランチでリセット(日光を浴びる、運動する、よく噛む)
- ランチの場所選びで細かいチャレンジをする
- 仮眠はするならば20〜30分
- 運動や場所移動してリセットする
- 機械的に45分+5分など休憩する
- 退社時間を決める
夜の時間
- 知的重労働には1時間程度の運動が良い
- 眠りに入る3時間前の運動は避けてリラックスする
- 夜はリラックスし、寝る前2時間は特に意識する
- 寝る前15分は記憶のゴールデンタイム
その他
- アイデアがうまれるのは電車に乗っている時、入浴している、歩いている、といった単純な動作と同時に考え事をするとき
- みたい映画リスト、したいことなどのTo Doリストなどで楽しみを意識する
感想
OECDの生産性の低さは相変わらず飛び抜けて低い状態が続いている日本ですが、冷静に他の国から学ぶ必要がある分野に思います。仕事で中国やアメリカのチームと日頃からやりとりするのですが、選択と集中は日本が苦手な分野に感じますし、ダラダラと残って仕事する方が美徳とされている感覚はとても感じます。ダラダラと仕事させても良い法整備もありますし、早く帰るインセンティブや締め付けは必要に思います。
OECDが報告しているその他のデータも見てみると、日本が良いスコアに居るのは長寿に関してです。そこに多くの費用がかかっており負担も多い事が想像つきますし、長生きへの重要度が他の国に比べて極めて高くなってしまっている様子も伺えます。
最近では死に際での考え方を見直す流れも感じます。身体の自由が多い時に職場で時間を使いすぎるのではなくその他に生きる楽しみを見つける方法も磨くべき時代にあるように感じます。