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訪問記/書評/勉強日記(TOEIC930/IELTS6.0/HSK5級/Python)

2020年書評#3 | きっと見つかる人生を幸せにするコツ | どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた

COVID-19の影響で半年前には想像していなかった生活が行われています。

東京では、今までさんざん「そうだ、京都いこう」などと言われ外出して経済活動をすることが叫ばれていましたが「外出自粛」「ソーシャルディスタンス」などと経済活動をしないことと同義とも取れる三密を避ける動きが連日叫ばれています。

こういった状況もあり、部屋の中で物事について考えられる時間が増えて、忙しくてできなかった思考をすることが幸いにもできており、今回は幸せについて考えてみる事にしました。

 

 

まえがき

東日本大震災の時に、就職活動から帰ってきたラボでみたYoutubeで次々に街が波に飲み込まれている映像みて映画か現実か分からないというショックを受けました。

一瞬にして人の命が亡くなってしまうという悲しくも現実であった出来事です。

親戚が仙台に居ることもありボランティア活動をしたり、石巻旅行したりなど自身の中で風化させないようにすると共に、「生きること」について少なからず考えさせられる出来事でした。

当時研究室で生活する中で、「研究者としての価値」は何であるか?という話を教授やラボメンバーとしていた時、「きっとこの世でいつか見つかっていた物事を少しでも早く見つけること」「10年かけて進んだであろう物事を5年にすること」のように、「自身としての存在による世界の差分」を記すことが研究することの意義なのではと話したのを覚えている。

結局、君が生きていたということは、何だったのだろうと思うよ。

でも、シンプルに考えると、君とは、君が生まれた世界と、君が生まれなかった世界の差なのだろうと思うようになった。あたりまえといえば、あたりまえなのだろうけど。

後に当時好きであったYokichiさんのブログにもその差分について記されていたのを記憶している。 

yokichi.com

人生を幸せにするコツ1:感情について知る

予防医学の専門家石川善樹さんは、人生を幸せにするコツとして「朝ワクワクして目が覚めて、夜満ち足りて眠る」ことが大事だと語ります。予防医学の分野ではこれが永遠のテーマであるようで、そうするためにはどういう工夫をしたら良いのかというヒントが語られています。

  • 気持ちを俯瞰し、感情にハイジャックされないようにする
  • 無邪気であり、あらゆることから学ぶこと
  • 人間だけがもつ快楽「思いやり」を上手く扱う
  • 人生の3要素:新しいアイデアを外に取りに行く、シェアする、新しいアイデアを考える
  • 孤独遺伝子を持つ開拓者は新規性をもたらす
  • 型や常識から予測し、新しさや驚きを見つける
  • 科学は物事を要素分解して、観察して、またそれらを組み合わせていく作業

ポジティブで居るために、人類の「楽観的トリガー」は新しい物事に触れ、学び、脳に驚きを与えることなのかなと思います。

石川さんは「人生でいちばん身につけるべきは感情のコントロール」と言います。

ポジティブ・ネガティブな感情双方には意味合いがあるのだけれども、「深刻である」「落ち込んでいる」状態でただ過ごすことはあまり良い効果がありません。泣き叫んでも物事は変わらないです。そうなればポジティブである時間を増やす方がよりよい人生と言えそうですよね。

一方、ネガティブな感情にも意味合いがあります。

  • 恐怖:ロジカルな思考の手助け。短期的な物事を見る際に発生しやすい。
  • 怒り:切羽詰まった状況を短期的に解決したい時に役立つ。

もう少し科学的に要素分解して感情をネガティブ・ポジティブに切り分けてみましょうということで、ハーバード大学の意思決定センターによる感情の分類を見てみます。

  • ネガティブ:怒り、イライラ、悲しみ、恥、罪、不安/恐怖
  • ポジティブ: 幸せ、誇り、安心、感謝、希望、驚き

興味深かったのは、それぞれの感情に得意分野があることです。

  • 物事を始めるきっかけの感情:希望、恐怖
  • 継続のための感情:幸せ(ハッピー、エンジョイ)
  • クリエイティブになりたい時:ポジティブ
  • 厳密に考えたい時:ネガティブ

新しい物事を始めたい時は、希望(なりたい姿を想像するなど)を高め、継続したい時は幸せ(何かできるようになっている進捗をログするなど)を実感する工夫をするなどして習慣化するのが良さそうです。

習慣化するとそこに感情は消失してくようなので、自分の原動力となる感情を認識し習慣までたどり着く道筋を見つけ出す事がトップパフォーマーになる大事なことになります。

人生を幸せにするコツ2:幸せになる思考

感情をコントロールするために

感情について知ると、それをコントロールする事を理解したくなります。

興味深いことに、人は上を向くとポジティブに、下を向くとネガティブになるようです。元メジャーリーガーの長谷川さんも呼吸法により感情をコントロールしていたことを語っています。このように意思や行動から感情をコントロールする引き出しを増やしておくと、何か始めたい時、ロジカルに考えたい時、継続したい時にどうすれば良いかわかってきそうですね。

技術的に言えば、緊張している場面では心拍数が上がっている状態となります。普段から心拍数を計るなど意識しておき、上がっている(速くなっている)と感じたらゆっくりとした腹式呼吸を行うことで、抑える(戻す)ことができます。
 私は、いろいろな場面ごとに自分の心(精神)の状態をグリーン(正常)、イエロー(注意)、レッド(危険)の3色で色分けして捉えるようにしています。イエローの場合は呼吸などで落ち着け、レッドの場合は、一つのことに集中したりして、ほどよい状態に整えるよう心掛けています。競技はもちろん、講演会や会議なども含め、まったく緊張していない状態も、パフォーマンスを発揮する上では、よい状態とは言えません。その場合は、あえて速い呼吸を行うなどして心拍数を上げ、程よい緊張状態をつくるなどコントロールしています。こうした方法を含め、いろいろな本に載っているので、自分にマッチしたやり方を見付けることが大切だと思います 

www.ritsumei.ac.jp

成長するためには

子供の時は割と単純に「得意」や「好き」という感情で何かを始めたりします。

ただ、それだけで何かをしていると「自分よりできるすごいやつ」がどこかで登場します。そういった時に努力の仕方を知らないと壁を突破できなくなります。感情をコントロールして努力・修行する術を人生のどこかで体験していると、何か壁にぶつかった時に同じように感情コントロールして対処する事ができるでしょう。

  • 人の成長:「積み上げていくことによる成長」「ゆらぎ(余白)からの学び」
  • 成長の継続期間:「ゆらぎ」やコンプレックスを持ち続けていること
  • 本物の自身や満足:自分が苦手なことにチャレンジして克服した経験
  • 成長が止まる時:「得意」と「好き」だけで壁にぶつかった時にどうしたら良いかわからなくなる時
  • 学びのモチベーション:好奇心と理性のバランス(好奇心を持ち続けること)
  • 好奇心の維持:普通のことを不思議に思うこと
  • 意思決定はものすごく疲れる行為
考えることとは?

よく昔から「考えなさい」と部活などで教えられ、また後輩などに言ったりしていました。そもそも「考える」とはどういうことなのか、を考えもせずに笑

考えるという言葉はもっともらしい言葉ですが、それが一体どういう意味なのか。石川さんは考えるということは手段であり、目的は理解することだと言います。

さらに理解を分類分けすると5段階あるようです。確かに人は分類分けすると何かしら理解したように思います。その分類分けから予測ができ、そうすると予測の正否が検証でき、物事の因果関係がわかります。因果関係を掴むことを科学者は行い、そこから新しい価値を創造します。

  • 「考える」(=「理解すること」)とは?:1.ディテールを突き詰める、2.ビッグピクチャーを把握する
  • 理解の5段階:分類→予測→検証→因果→創造
モテたい願望

「彼女居るんですか?」の質問に対する良い解を石川さんは得ます。とりあえず「長く付き合った彼女が居る。」と答え、数回合ううちに「上手く言っていない」という不誠実な方法のようです笑

この後、この不誠実さを反省し今度は女性誌をさかのぼりモテる男の条件トップ3(1.頼りになる、2.おもしろい人、3.かっこいい人)を見つけ頼りにされるために女性の悩みがダイエットという不滅の課題であることを見つけ出し研究することになったそうです。

  • 「いい人がいたら結構しよう」マインドは結婚しようという意思決定が無いため起こりにくい
  • 結婚は「この人でいいけど、この人じゃなくてよい」との葛藤
  • 結婚した前提でシュミレーションを刷り込み「この人で良い」思考を与える
  • 何かが自分にとって都合のいい状態であることを期待するから怒りや悲しみが生まれる
  • 結婚は「ラッキーなことに毎日一緒にいてくれる相手がいる」と思えるとよいのでは
流行り、欲望

流行るということに対して、「オピニオンリーダー」を中心に①強いつながりの閉じたグループ②中ぐらいのつながりグループ③弱いつながりグループに分け、流行の伝搬について調査した所、②の中位のつながりを持った人(ちょっとした顔見知り)による拡散力が高い事がわかりました。

流行る物事は、SNSにより日々選択の連続で判断の疲れるような「少し考えなければいけない的を得た真実」よりシンプルで頭を使わないような「現状追認メッセージ」が流行りやすいようで、伝え方が大事になります。

「3つ程度のコミュニティによる推薦」「ランキング上での在籍」(人がみているものが欲しくなる欲)「クリエイティビティ(新しさと受け入れやすさのバランス)」が流行るポイントであるようです。

流行りや欲望について理解すれば、自分がそれに左右されない感情をコントロールすればよく、「個々人の欲望にバリエーション」を持てば良さそうですね。

楽しい、幸せ

楽しいという感情はまだ未知の部分が多いようですが、「幸せ」とは3種類、①快楽②意味③没頭に分けられるようです。この「幸せ」という感情を知ることは充実感を得るためにはとても重要になります。

「幸せ」の感情を長く持ち続けるためのポイントをリストします。

  • 熱中するためには飽きを乗り越えないといけない(飽きの感情を正しく認識する)
  • 人に評価してもらわないとうれしくないっていうのは、すごく不自由であり、その原因は自分の欲望に気がついていないため他人の評価に依存(自分はどういう人間でありたいんだろう、を普段から意識)
  • 余暇の時間は増えており、2種類(ニュートラルな活動:ダラダラ過ごす時間、ポジティブな活動)ある。ニュートラルな活動が現代では増えている。
  • 幸福度決定要素は1位:所得、2位:「困った時に助けてくれる人がいる」、3位:「健康」、4位「自分の人生を自由に選べるか」
  • 今の自分の状態が嫌いじゃないから、本当は自由に選べる人生に気がつかず、既定のポジションに居続けようとしてしまう
  • 自分の感情と向き合う力が問われ、そのために感情をモニタリングして欲望を発見し、それを忠実に追いかける力が大切
  • また、楽しくないことを楽しめる技術も充実感を得るための工夫になる
  • この世はちょっとしたきかっけで変わると信じ、世界は変わると思えていることが、夢中でいられるいちばん重要な要素
  • 世界を変えようと思うなら自分が変わればいい。自分が変わると世界は勝手に変わる。
  • 自分の感覚、直感に従ったほうが結果がいいし、納得いく。そのためには自分がやりたいことは何かを言語化させる必要がある。
  • 「言語セット」が違うと、世の中に対する感受性が変化する(外国語で思考すると異なる感性になる)
  • 生きる意味より死なない理由のほうが大事

さあ、どうなれば幸せになるのか考えよう

さて、幸せになるための感情を知り、思考について見てきました。じゃあ具体的にどうやったら幸せになるの?という部分です。

1.自分が何をしていると楽しいかを理解する(好きをみつける・やる)

過去の経験を振り返り、楽しかったことを「分類」します。分類分けのときには「好き」「嫌い」という感情で分けるのも一つの手です。

2.成長につなげる(嫌いなことに挑戦する)

楽しい、好きなことばかりしているといつか行き詰まります。成長につながるためには「苦手なことを意識して取り組む」ことをしなければいけません。苦手なことも触れる中で新たな発見の幅も広がるので、より好きが広がったり、好きが深まったりします。

3.コンセプトをもつ

「今、ここ」の意味をますために、夢を持つということがモチベーション維持のためにとても大切になります。夢や一生のテーマなどは掲げにくいものですが、今月のテーマぐらい気軽なものを意識し、人生にコンセプトを決めていくと良いでしょう。

 

この本はどういう人におすすめか

学校で教えてくれるものは生きていくための基礎体力みたいなもので、大人になった時にいろいろな物事が判断できるための道具だと思っています。でも、その道具を使うためには気持ちが整理されてないと正しく使えないでしょう。

道具の使い方は重視されているのに使うときのメンタル面への問いかけ、というものが少ない気がします。気持がコントロールできない、楽観的になれない、楽観的になるトリガーを持ち合わせないという事が時に取り返しのつかない行動を生むと思っています。

何か前に進みたいけど進展できていない感情に苛まれる、新しいことを始めたい人などには良いのではないでしょうか。

最近、CouseraのScience of well-beingという講座を聴講し始めましたが、「よりよく生きること」をアメリカの視点でも勉強して一生のテーマに対する認識を広げたいと思います。

 

 

www.coursera.org