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論語と算盤と私 | 朝倉 祐介 (著) | 2023年書評#11

朝倉祐介さんの著書論語と算盤と私を読みました。

 📒 Summary + Notes | まとめノート

サステナブル資本主義に引き続きシニフィアン創業社メンバーの朝倉さんの著者になります。

ジョッキーを目指した中学卒業後から体の変化に伴いその夢を挫折し勉強をし直して東大に入学し会社を創業。その後Mixiの立て直しを経てシニフィアンとして会社をサポートする立場へとなっています。PIVOTでの対談も面白いものでした。

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岡田武史さんに聞く「開き直り」の必要性

本書で読み応えがあった部分に岡田武史さんとのリーダーシップの話がありました。サッカー理論「岡田メソッド」を築き上げるほど昔から理論考が好きだったそうです。最初のW杯出場を目指すフランスW杯予選にて監督に就任、当時の盛り上がりは今以上でファンからの応援も凄ければ暴動のようなヘイトも受けます。

最終予選の決戦前には家族に対して「負けたら日本に住めないかもしれない」と相談するほど張り詰めた緊張感を解いたのは開き直りでした。言葉を変えると「覚悟」というかもしれません。

また日本代表選出など難しい判断を迫られる監督は誰かから恨まれることが仕方なく、誰にでもよく思われる存在で居ることは諦めたといいます。カズを日本代表から外すことなど多くの決断を実行しました。また、自分の弱さも認識し、選手の仲人はしないワイワイ一緒に過ごさないなど決断が鈍ることはしないように徹底します。

その後サッカーチームの経営にも携わることになると、リーダーが夢やビジョンを持っており共有することがとても大切と気づいたそうです。その中で築き上げた土壌で最後に大事になるのは運。多くの経営者が最後に占いに頼ったりするのも考えても仕方ない部分でどちらに突き進もうかだれしも不安な状態ということでしょう。

その運をたぐり寄せるために本書で朝倉さんが語る「理」「心」「運」という要素が1:4:5という言葉を改めて岡田さんも実感したそうです。運を手繰り寄せるために、ビジョンが必要であり、ビジョンを元に努力をすること。スポーツでも経営でもリーダーにとって必要な話です。

「理」「心」「運」

朝倉さんが本書で言及する3要素に「理」「心」「運」というものがあります。会社経営に関わる理の部分にはスタートアップの生態系や時期(アーリー、レイトなど)による問題の違いについてや、創業経営者・雇われ経営者の違い、サラーリーマン思考的な経営者による思いきれない問題点なども挙げられています。

最近の朝倉さんの著書にもあるように、ファイナンスの面を理解する必要があるとも言います。本書がビジネスの全体像から重要なポイントがどこにあるのか、と説明するものであれば、「理」の部分であるファイナンスの部分を解説する本がそちらです。

ファイナンス面の原理や感覚を理解しておくことは社会人として働くひとに重要となっている感覚は朝倉さんが語る通りであり、その理解があることにより「Go」サインもかけられますし、なぜ「No-Go」なのかの理由も考えることができます。

また株式会社やVCの構造についても解説されており、利益を得るために誰もが行うなかでどのスパンが重要視されているのか、どのサイクルがVCとして重要視するのかなど書いており投資する側の視点をある程度頭に入れておく有用性を感じました。

また組織構造の話も面白く、よく言うゆでガエル状態に陥ってしまう理由であったり回避するための方法についても論じられております。その中で基礎となってくる知識としてファイナンスの面の重要性も感じられます。

人生の岐路で考えるべき3つの原則

動機:ポジティブもネガティブもあり

選択基準:みずからが納得するために

代替案:人生の致命傷を避ける

価値ある挑戦をするために

会計管理の整備

グッドコップとバッドコップの分担

試行の回数を増やす

感想

VCとしてよりよい投資を目指すシニフィアンのメンバー、また経営側としてもMixiの復活をするなど多くの業績を残してきた朝倉さんによる著者でとてもおもしろいものでした。

失敗の本質などで語られるようになぜ組織は弱るのかという話を「理」「心」「運」という明快な説明もなるほどなと思うとともに、運は待つものとよう要素以外の部分をどう築くかという点で、ファイナンスの視点、株式会社の視点、リーダーシップの視点から重要性を解きます。

それぞれより深堀りしたような本や教科書的な著作物は溢れているのですが、どうしてここに行き着くのかという所も経験を元に語られており勉強になりました。

岡田さんとの対談であったり、朝倉さんのジョッキーとしての夢を挫折するストーリー、運を掴むために「開き直り」が重要であるという話など面白い内容でした。

📚 Relating Books | 関連本・Web

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  4. https://amzn.to/3lmBAnB 東インド会社 巨大商業資本の盛衰 (講談社現代新書) 新書 – 1989/7/17 浅田 實 (著)
  5. https://amzn.to/3JPFcJh 「空気」の研究 (文春文庫) Kindle版 山本 七平 (著) 形式: Kindle
  6. https://amzn.to/3YfPhmZ 君主論 (岩波文庫) Kindleマキアヴェッリ (著), 河島 英昭 (著)
  7. https://amzn.to/3REsKxP ソクラテスの弁明 クリトン (岩波文庫) Kindleプラトン (著), 久保 勉 (著)
  8. https://amzn.to/3YCNVmh リーダーシップの旅~見えないものを見る~ (光文社新書) Kindle版 野田 智義 (著), 金井 壽宏 (著)
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  10. https://amzn.to/3DLOiCH 論語と算盤 (角川ソフィア文庫) 文庫 – 2008/10/24 渋沢 栄一 (著)
  11. https://amzn.to/3I8lPdd 一倉定の経営心得 単行本 – 1999/6/1 一倉 定 (著)
  12. https://amzn.to/3jJg9wQ リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす Kindle版 エリック リース (著), 井口 耕二 (翻訳), 伊藤 穣一(MITメディアラボ所長) (解説) (その他)
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  16. https://amzn.to/3x7mCEE ウィニング勝利の経営 単行本 – 2005/9/1 ジャック ウェルチ (著), スージー ウェルチ (著), 斎藤 聖美 (翻訳)
  17. https://amzn.to/3x34VpS V字回復の経営―2年で会社を変えられますか 文庫 – 2006/4/1 三枝 匡 (著)
  18. https://amzn.to/3YAF4kG 失敗の本質 Kindle版 戸部 良一 (著), 寺本 義也 (著), 鎌田 伸一 (著), 杉之尾 孝生 (著), 村井 友秀 (著), 野中 郁次郎 (著)
  19. https://amzn.to/3YvX7bZ イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press 1st 版, Kindle版 Clayton M. Christensen (著), 伊豆原 弓 (翻訳), 玉田 俊平太 (読み手)
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  21. https://amzn.to/3lkWsvL バフェットからの手紙 第5版 Kindle版 ローレンス・A・カニンガム (著), 増沢浩一 (翻訳), 藤原康史 (翻訳), 井田京子 (翻訳)
  22. https://amzn.to/3RPaC4j 破天荒な経営者たち
  23. https://amzn.to/40xnjVv 後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫) Kindle版 内村 鑑三 (著)
  24. https://amzn.to/3I6UFmR 君たちはどう生きるか (岩波文庫) 文庫 – 1982/11/16 吉野 源三郎 (著)