元ソフトバンクで孫正義さんが一発OKを連発したと言われるプレゼンを作り上げた前田鎌利さんの社内プレゼン術の本。
社内のプレゼンって仕事の時間を奪うアイテムの一つだし、かと言って社内プレゼンがうまく行かなく大事なプレゼンで「あれ、何伝えたいんだっけ」というような事があるとどんよりするものでもある。
プレゼン本はかなり昔にTEDやAppleのプレゼンが話題であった頃にガー・レイノルズさんのプレゼンテーションZENを読んで依頼。
本書でとても良かった所は社内と社外のプレゼンをまず区別し、社内プレゼンで大切なことにフォーカスした場合、どうすればよいのかをまとめている所だと感じた。
この本での主張は、
- 社内プレゼンの目的=決済者が判断できること
- 決済者が判断しやすいように内容は、シンプル+ロジカルが満たされていること
フォーマット的な話
- 1プレゼン1テーマ
- 3分以内、7±2枚のスライドボリューム
シンプル+ロジカルにするためのルール
- ①課題、②原因、③解決策、④効果(期待)の流れであり、それぞれに結論と根拠(データ)があると良い
- なぜ?→だから、どうする?→するとどうなる?がわかりいように
- 内容は①財務的視点②実現可能性③経営理念との統合性を考える
- 一人ブレスト用のテンプレート
その他シンプルにするためのルール
- 本編は最重要な要素のみで、アペンディクスに補完・詳細データ
- 本編のデータは主張がわかりやすいように簡潔・明確に(データは比較したいポイントにフォーカスできる工夫)
- 1択より2択
- キーメッセージは13文字以内
- ポジティブは青、ネガティブは赤
- グラフは主張したい部分以外はモノクロか同色グラデ
- スケジュールはグラフで
- ワンスライド・ワングラフ
- スライドは基本的に読ませない・10秒/1スライドで分かる内容であるかが基準
- 元データはアペンディクス
- スライドに乗せるグラフはシンプルにかつ項目は単語で
- 写真を効果的に利用
- 決済者によってスライドの構成を変える
- 1分バージョンも作成しておく
テンプレ化しておくと変な思考迂回が無いと思うのでこうやって明確なルール化しておくと時間をかけずにスピーディーに効果的なものにできるように思う。
この本読んでいて思ったのは、プレゼンも目的(情報共有目的、意思決定目的)、規模(部内、社内、社外)など意識して、どの場面ではどのフォーマットが有効であるのか自分なりに整理して設けておくと良いと感じた。
社外のプレゼンについてはロジカルというよりもエモーショナルにビジョンを伝え共感を求めるものであるため、またこちらの本も読んでみたい。
末端の技術職であればこういったプレゼンフォーマットにまとめるよりも現状把握的な趣旨の強い打ち合わせが多いと思うので、元データドカンとしたり網羅的に見て方向性決定しよう、というような打ち合わせのほうが多い気がする。
この本で伝えているのは、あくまで(忙しくてなかなか合うことができない)決裁者に対して簡潔に伝える方法ということ。
ただし、文化的にビジーなスライドを好む会社も多いし、内容を伝えるためと言ってデータ削ぎ落と事が悪とする文化や・アウトレイヤーをそのまま入れ込んでピュアなデータを決裁者に出したい(そして責任を分割・移す)という人も過去見てきたので使う場面の向き・不向きはあると思う。
30分ぐらいでサクッと読める本なので選り好みして読まないより読んでほうほうと良いいいところは活用する、というのが適切に感じた。好きなブロガーが割とポジティブに書いていたので、まあ読んで無駄は無い気がする。
表面的に真似したり、アペンディクスが無いと薄っぺらい印象になりそうなのでそのあたりは注意が必要そうではあるが、外資系などであると決裁者が注意散漫なこともある(発表者の語学力や出張中の僅かな時間などの要因)ので飽きさせないようにシンプル+ロジカルという視点はとても参考になった。