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2019年 書評#9 BAD BLOOD

アメリカで第2のスティーブ・ジョブズと呼ばれたエリザベス・ホームズ率いるセラノスが起こしたスタートアップによる大規模詐欺事件について書かれたBAD BLOODを読んだ。 

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Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup (English Edition)

Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup (English Edition)

 

301ページに及ぶ本書。内容はセラノスの内部事情について書かれており、エリザベスがどういった人間であったのかを様々な元社員から聞き出した事をまとめられたものである。

基本的な流れは、雇われる→組織の実態に気がつく→エリザベスを説得→即日・翌日問答無用解雇、というような流れを生々しく書かれている。

jp.techcrunch.com

セラノスの売りは指先からのたった一滴の血液から200種類もの病気を検査できるというものであった。いかにそれが難しいのか、でたらめであるのか、社内エンジニアやサイエンティスト達が不可能ではないかと問いかけた所、エリザベスとサニーにより徹底的にマークされ解雇・訴訟されるという、極めて陰湿な社内事情だったようだ。

時には政府認定の資格のために社内にてデモする際にも徹底的に嘘を突き通し、あたかも自社開発した機材にて検出されたとされる結果は業界にて一般的に使える装置を用いた結果であったというものまであった。

forbesjapan.com

これだけ嘘にまみれた組織に数多くの投資家が投資をしていたという点も驚きである。

wired.jp

このセラノスのストーリーはというと、ポッドキャスト長編シリーズとして登場し、さらにはドキュメンタリーとして発表されている。(残念ながらドキュメンタリーはアメリカ内居住者など視聴が制限されている)

youtu.be

本はかなり淡々と起こったことについて書かれているジャーナリズムを感じられるものになっているのだが、読み終えるのに何回も心が折れかけた。

セラノスの神がかった非透明性の背景にある数々の不正を考えると、透明性というのは非常に大切であり第三者の視線を得るということがどれほど大事なことであるか分かってくる。

数々の優秀な人材が集められていく中で、エリザベスがAppleのスティージョブズに大きく影響されAppleの元社員を引き抜くなどの話も興味深かった。

本・ポッドキャスト・映画で語られるセラノスの実態。あまりにもずさんであり、恐怖政治的社内環境でありながら、訴訟をするという、踏んだり蹴ったりな内容を詳細にまとめられた本であった。

 

note.mu