久しぶりの英書の読書になります。今回15日間ほどかけて読めたので2019年に英書を読むようにしていた頃に比べてだいぶストレス少なく完読できて英文に対する慣れが感じられたのが嬉しかったです。
さて、本書ですが、よく見ているYoutuberのAli Abdaalさんの初出版本Feel Good Productivity、ポジティブな気持ちが良い生産性を生み出すという内容の本になります。
ポジティブな気持ちの状態に居ると活力が生まれて生産性を向上させてくれるというループが生まれるために、ポジティブな気持ちで居ることの重要性を説いています。
結果を出す過程において、結果が気持ちをポジティブにするのではなく楽しく実行した時に結果が生まれます。
本書は3部構成、Energize、Unblock、Sustainというタイトルになっており、エネルギーを生み出すために3つのP(Play:楽しく、Power:力強く、People:人々)の切り口をまとめ、Unblockの章では先延ばしにする障害であるUncertainty:不確か性、Fear:恐れ、Inertia:惰性について、最後には燃え尽きてしまわず継続的にするためにConserve:保全する、Recharge:リチャージ、Align:調整することを見ていきます。
📒 Summary + Notes | まとめノート
Energize
Play
ファインマンは若くして成功した物理学者でしたが、ある時から物理学を教えることに楽しみをみつけられなくなります。そんなある日、食堂でお皿を回転させる生徒を見てロゴの動きと皿の回転が同じスピードに見えない様子をぼーっとみていました。その時は何気なくみた物事として過ぎましたがしばらくして、なぜなのか気になり考え始めます。
興味深い現象に自分がなぜ興味深いと思ったのか。彼は物理学が楽しかったことを思い出し、なぜプレートの回転とロゴの見え方が一致していなかったのか解き明かしていきます。物理学への興味を取り戻し、彼はノーベル賞の受賞や最高の物理学教授の一人として楽しい授業をしていくことになります。
楽しむ(Play)ことが活力を取り戻しました。
物事に興味深く取り組むと脳の報酬としてドーパミンが放出されます。ドーパミンは我々がもつFeel Goodホルモンの1つです。勉強の際に記憶力を向上させたり記憶の定着を助ける役割を持ちます。勉強する時に興味を持って取り組むとドーパミンが助けてくれるということですね。
Aliさんは大学時代生物学の退屈な暗記をどう楽しくできるか考えていました。ポストイットにメモしたWhat would this look like if it were fun?というのを見かけます。そこで退屈な暗記の際にロード・オブ・ザ・リングのサウンドトラックを聞きながらすると楽しさが出て暗記も苦ではなくなりました。これを仕事にも適用します。仕事で溜まった仕事をこなしていくのにパイレーツ・オブ・カリビアンのサウンドトラックを流し楽しみを増やしました。
マクドナルドのバイトをしていたMatthew Dicksは日々の退屈な仕事をこなすことに楽しさを見つけられずにいました。楽しみがなく、ときめきがなく、挑戦もない仕事。しかしDicksはある時それを変えようとします。多くの客はビッグマックにポテトを頼みますが、そこにBBQソースデーと決め、BBQソースのスモールセールを始めます。ソースが必要か聞くとだいたいNoと言われるのでそこで「BBQソースはとてもおすすめですよ、これに勝るものは無いです」というと多くの顧客がじゃあそれでと受け入れてくれます。Dicksはそこに楽しみを覚え、退屈な仕事を楽しくこなせるように変化しました。小さな楽しみがバイトを行くのを楽しく感じるように変化しました。
Experiment
- Choose your character
- Collector
- Competitor
- ExplorerCreator
- Storyteller
- Joker
- Director
- Kinesthete
- Embrace Your Curiosity
- The Magic Post-It Note
- Enjoy the process, Not the Outcome
- Reframe Your Failure
- Don't be serious. Be Sincere
Power
Netflixは社員に自由を与え個人の力を尊重し創造性を発揮できる職場づくりを行いました。Powerは我々の第二の活力であり、Feeling Goodと感じられるための必要な材料です。そして面白いことにこれは誰かから与えられるものではなく自分自身で作り出すものです。
自己効力感(Self-efficacy)とは自分がうまくいくと思う自信や信念のことを言います。まず自分を信じることが物事をうまくいかせるための根本活力となり、さらには自信はもとから持ち合わせるものではなくて、身に付けられるものであります。
BanduraはSelf-efficacyという言葉の生みの親であり、自信について研究していました。「You can do it」や「Nearly there(もう少し!)」というような自分への言葉は自信に対して大きな助けをすることを見つけます。自分を信じる事が大きな結果につながるのです。
Podcastや本などからロールモデルを見つけることで、なりたい自分や自分に自信をもつこともできます。Aliさんは仕事へ行くときにはRCP Medicineというポッドキャストを聞き医者が症状に対してどのようにアプローチしているかという話を聞き、企業するときにはIndie Hackersという起業家へのインタビューをよく聞いていました。誰かができるのであれば自分にもできる。
マイケル・ジョーダンをレジェンドに育て上げたブルズのコーチPhil Jacksonは禅の考えを取り入れていました。Shoshin(初心)はビギナーズマインドと訳されることが多く、もし初心者だったらこの物事をどのように見るのだろうか?という考えです。ビギナーは何でも挑戦し、どんなことも楽しく感じます。沢山失敗してそこから何を学べば良いか見つけるプロです。Jacksonはこの視点を持ってシカゴ・ブルズでコーチをして常勝軍団となりました。
RedditでFiletOfFish1066というアカウントが面白い投稿をします。彼はなんと働いている会社で退屈な仕事(品質保証業務)を担当しておりました。なんと彼は6年間働いていましたが最初の8ヶ月で業務を自動化し文字通り他の時間は座っているだけで何も仕事をしていない(6年間で50時間のみ働いたと言われている)状態でした。彼の自動化した業務は的確であり、上司は全く怒らずに居ました。最終的に彼は見つかり上司への報告があったために解雇されたのですが、彼の行動からの大きな教訓はプロセスは自分が決められるということです。
Experiment
- The Confidence Switch
- The Social model method
- The Shoshin Approach
- The Protege Effect(プロテジェ効果)
- Own the Process
- Own your Mindset
People
チームワークという言葉を考えた時に思い浮かぶのは、仕事を平等に分けることであったり、行き詰まっている誰かを助けるというようなことでしょう。スタンフォード大学のGregory WaltonとPriyanka Carrはチームワークとはタスク分散というよりも心理状態のことであると言います。2014年に報告された研究で3−5人のグループの人たちを個別の部屋にわけパズルを解いてもらい「きみ”たち”への」と言われ渡されるヒントと「きみ”だけ”への」ヒントと言われて渡されると”たち”と言われたグループの方が好成績を出します。これはComradeマインドセットと呼ばれるものでグループの一員と認識されている人は好成績を出すことに繋がります。
ある日友人がなりたいと思っていた職業のオファーを得ました。その時に4つのレスポンスが考えられます。アクティブで建設的なチャーリーは「良かった!頑張っていたもんね!」と言い、受け身で建設的なエマはほほえみ「それはいいニュースじゃん」と。積極的に破壊をもたらすイーサンは「そしたら忙しくなって遊べなくなっちゃうね」と言い、受け身な破壊的であるサムは基本的に気に掛ける様子はありません。
引用:https://www.derekcondon.ca/feel-good-productivity-by-ali-abdaal/
簡単に想像できるとは思いますが、チャーリーのようなレスポンスをすると関係性はよくなり強固になります。誰かの勝利を一緒に喜ぶこと、はとても大事なのです。
ここでの教訓はOvercommunicateつまり、思っているよりも意識的に嬉しがったり共感することです。
注意点は嘘をつかないことです。嘘をつくことで大脳辺縁系が活発化し、これは戦い始めるときと同じ脳の活動になってしまいます。正直でいるときは活動が最小限です。
何か良くないことをシェアする時は嘘をつくことは避けたいですが、正直になるのも難しいものもあります。そんなときは”率直”になるべきとKim Scottは言います。
Experiment
- The Comrade Mindset
- The Social model method
- Find Synchronicity
- Random Acts of Kindness
- Ask for Help from Others
- Overcommunicate the Good
- Overcommunicate the Not-So-Good
Unblock
第2章で取り上げられるのは先延ばしについてです。先延ばしはネガティブな感情から起こります。これはFeel Goodと逆ですね。先延ばしの主な3つの障壁はConfusioin(迷い)、Fear(恐れ)、Inertia(惰性)です。幸運なことにこれらを減らすことは可能です。
Seek Clarity
何か始めるとき私達は霧の中によるようなシチュエーションがあります。そのような場面でわたしたちはOverestimation(過度に考えること)、Hypervigilance(過度に用心深くなること)、Unrecognitioin(認識しないこと)、Avoidance(避けること)などのステップをします。
ノルマンディー上陸作戦において、ドイツに占領された土地を奪還するために作戦が実行されましたが、この作戦はスタートからミスが起きます。パラシュート部隊は最初に想定していた場所とは違う場所に降りていることに気が付きます。しかし指揮官の意図を兵隊が理解していたため、最終目的の達成のために兵隊は動き最終的に成功に終わります。細かな計画は時に無力となりますが、指揮官の意図が理解されているということはとても重要でした。
これはわたしたちの日常にも活用できます。例えばフランス語学習を見てみましょう。目的は何なのか自分に聞いてみます。フランス語の古典を読みたいのか?それとも今度行くフランス旅行を生き延びるためのフランス語なのか?その方法についても同様に自分に問いかけます。Duolingoを使って勉強するのか?レッスンに通うのか?1950年代のフランス映画を沢山みるのか?
George T. Doranはコンサルタントを行っておりゴール設定にSMART(Specific、Measurable、Assignable、Relevant、Time-related)という5観点があるべきであると言いました。本書で提案されているのはNICE(Near-term、Input-based、Controllable、Energising)という観点です。
Near-term:すぐに開始てきる手軽なもので、日、週の目標程度のもの
Input-based:過程にフォーカスできるもの(例:5kgやせる→毎日10分歩く)
Controllable:毎日8時間などではなく、20分程度で済むようなゴール設定
Energising:活力が出るもの
Experiment
- Using Commander's Intent
- The Five Whys
- NICE Goals
- The Crystal Ball Method
- Implementation Intentions
- Time Blocking
Find Courage
恐れることは私達の生産性を下げる障害の1つです。Aliさん自身、最初の企業をするのに7年迷い続け、Youtubeも同様でした。クオリティが高くないと、こんなの意味がないのでは。当時を振り返るとAliさんは恐れのことを理解していなかったのではないかと言います。
恐れを減らす方法の1つに10/10/10 Ruleというものを提案しています。10分後、10週間後、10年後、それぞれにどのように影響があるのかと考える方法です。例えば、仕事の面接で落ちたとき、10分後きっと落ち込んでその日は影響あるでしょう。10週間後はどうでしょう?きっと他の面接を受けているので殆ど関係ないでしょう。10年後はより関係なくなっているでしょう。
Aliさんはある日友人たちとUber Eatsを頼んで食事をしようとしていたところJakeにジョークを伝えた場面で周りに居た誰も笑わない恥ずかしい思いをしました。ご飯を食べ終わった後にその場にいた友人のKatherineにその時のことを聞くと「ジョークなんて言ってた?ご飯美味しかったよね」とジョークを言ったことすら知らない様子。スポットライトが自分にあたってると過剰に思わず周りの人は自分のことで忙しい人が多かったのです。
Experiment
- The Emotion Label
- The Identity Label
- The 10/10/10 Rule
- The Confidence Equation
- Stop Spotlighting
- The Batman Effect
Get Started
何かを始めるとき手を付けることを防いでいる障害は何でしょう。1つ目の障害は物理的環境です。デフォルトチョイスになるような工夫をすれば手を付ける障害が減ります。例えばギターの練習をしたければギターをリビングの真ん中に置いておくなどです。スマホが気になるのであれば通知をOFFにするなど。
物理環境の次は感情的障害を減らすことです。何かをする時の障害が最も高いのは手をつけ始めるときです。手を付け始めると意外と集中できるなんてことは多いでしょう。最初の手をつけ始めるために「5分だけ」といって開始すると良いです。
これに加えて、次のアクションを明確にすると脳は混乱せずに実行できます。ジムに行こうの前に、ジム用品を取り出す、着替えるなどのステップでジムに行くという目標が達成できます。また記録をしていくことも重要です。記録を残していくことで軌道修正のきっかけとなりパターン、週間、障害などを見つけることができます。また、ポジティブな側面もあります。記録をすることであなたの進捗具合もはっきりとされます。
一緒に頑張る誰かを見つけるのも1つの方法です。一人でやるのは辛くても誰かがやっていると頑張れるのは人の性質です。
そして、時には小さな失敗をする自分を許すことも大事です。例えば、朝のトレーニングができなかったけどベッドでより時間を過ごしリフレッシュすることができた、などのように小さな損失に目を奪われず俯瞰的に次に頑張るように考えます。
Experiment
- Reduce Environmental Friction
- Reduce Emotional Friction
- Define the Next Action Step
- Track Your Progress
- Find an Accountability Buddy
- Forgive Yourself
Sustain
Conserve
最後の章はバーンアウト(燃え尽き)について考えます。Aliさんは精神科医の母に燃え尽きについて聞いたところ、燃え尽きとはストレス過多の環境で過度に働いたから起こるものだけではなく、誰にでも起きて気持ちが落ち込み、ペースが下がり挑戦できなくなるものであると言われます。
NBAのスターレブロン・ジェームズは今なお現役でいます。彼は2018年のシーズンで最も動かないプレーヤートップ10にランクされるほど動いていない状態です。彼の出場時間の75%ほど彼は歩いている状態です。上手にやることをセーブというのは長期間持続するための重要なことと言えるでしょう。
継続できないときに起きることは細かな失敗によりすべてを諦めてしまうことです。例えば、語学学習アプリの連続学習記録が途切れたので全部辞めてしまおう、などのようなことです。何か継続できなくなったとき、というのは見直しのタイミングの可能性がありますが、すべてを辞めてしまう合図ではありません。
休むことに罪悪感を感じることもあるかもしれませんが、休むことは重要であり必要なことでもあります。
Experiment
- The Energy Investment Portfolio
- The Power of No
- Add Friction
- Correct Course
- Schedule Your Breaks
- Embrace Energising Distractions
Recharge
気持ちが落ち込んだ時についついしてしまいがちな、スマホを永遠といじってりまうこと、ネットフリックスを永遠と見る、ジャンクフードを食べるというような事がありますがこれらはエネルギーを奪ってしまうものでもあります。一方で、散歩やギターで遊ぶ、ヨガをするなど活力を与えてくれる活動もあります。
CALM(Competence:能力、Autonomy:自律性、Liberty:自由、Mellow:落ち着かせる)と呼ばれる考えを紹介しています。創造的活動をしているときに私達は新しい能力を身に着け活力を与えてくれます。また絵を描くなどの活動は自分が自主性を持ってどのように描くのかを決められます。普段の活動から自由な感情を与えてくれるのも創造的活動の特徴でしょう。詩を描く、絵を描く、などの創造的活動はあなたに活力を与えてくれる材料になるでしょう。
面白いことに葉っぱや木などの植物を見るだけでリラックス効果があると言われています。これは実物でなくても写真などでも効果があります。自然の音を聞くことも1つの方法です。実際に外に散歩へ行き音を聞くことも良いでしょう。WHOは1万歩あるくことを進めても居ます。
DMN(Default mode network)と呼ばれるぼんやりした状態で脳が活性化する部位があります。DMNは記憶や創造性を手助けする部位です。最近の生活で問題なのはDMNが活性化する状況が減っていることです。つまり何もしないことという時間というのはとても重要でもあるということです。AliさんはRedditで誰かが日常見つけた疑問のフォーラムを眺めることが好きなようです。
Experiment
Align
何か物事をするときにはモチベーションがあります。外的モチベーションや取り入れてき動機づけなどあります。外的モチベーションはあまり良く思われていない側面がありますがすべてが悪いわけでもありません。
動機づけの種類とそこに関わる自律性を見てみると以下のような関係性に分けられます。内的動機づけはよりパワフルであり持続性をもたらします。外的動機づけのものごとにはどうすればよいでしょうか?‐私達はだれであるか?と何をしているのか?という考えを調節することが大事です。例えばトイレ掃除やファイル整理などそれ自体は楽しくない作業ですが、気持ちよく生活するために必要であるものです。
引用:https://www.derekcondon.ca/feel-good-productivity-by-ali-abdaal/
死ぬ時にどのように思われたいのか? ということを考えることもとても効果的です。Dr Lillicrapは成功のフレームワークを教えていました。そこで活用されていたのはHealth(身体、マインド、魂)、Work(ミッション、お金、成長)、Relationships(家族、恋愛、友人)という12の指標でした。Aliさんはここから弱い部分を確認し、そこに対してアクションしました。また12ヶ月ごとに振り返ることをして振り返りすることも彼の楽しみになっています。
引用:https://www.derekcondon.ca/feel-good-productivity-by-ali-abdaal/
Experiment
- Calm Hobbies
- The Odyssey Plan
- The Wheel of Life
- The 12-month Celebration
- The Three Alignment Quests
- Alignment Experiments
感想
最も成功しているYoutuberの一人でもあるAliさんの本ですが医者兼起業家であり様々な研究結果に基づいたまとめでとてもおもしろい内容の本でした。
ポジティブな気持ちで居ることが活力をあたえ生活を豊かにしてくれるというのは実感できる側面が多くそう過ごすための多くのヒントを与えてくれています。
人生をどう過ごしたいのか、将来どのようになっていたいのかと考えることはなかなか抽象的で難しいのですがその考え方のヒントも多く詰め込んでくれており、健康、仕事、人間関係の3側面から考えてみるというのは参考になります。抽象的な物事を具体的にすることでとるべき行動がはっきりとするというのは何にでも活用できそうですね。
退屈なこともそこに楽しみを見つけられるということは1つの才能でしょうし、マクドナルドでのバイトを楽しくするコツなども面白いものでした。そこに経済合理性がついてくるとより良いのでしょうが、時給制の仕事であってもそのこと事態を楽しめると活力が生まれます。
その反対に抽象的過ぎる目標や振り返りをせずに道筋がずれていることに気が付けない仕組みは問題となるでしょう。日々の生活から立ち止まって、なんでこれを勉強してるのだろう、なんでこの仕事しているのだろう、というような時間を持つことも重要に思います。
久しぶりにまとまった量の英語を読みましたが普段から英語に接する時間をより増やしたいなとも思えました。Redittにも面白い議論がありますし、ネイティブのインターネット上の書き込みのようなものや、本のような文章を写経してみることも良い文章を書くガイドになりそうです。