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茶色のシマウマ、世界を変える | 石川 拓治 (著) | 2022年書評#27

 

📒 Summary + Notes | まとめノート

前回から引き続きISAKの小林りんさんの物語の本になります。

ohtanao.hatenablog.com

 

前回の本がISAKの成り立ちについて書かれた本でしたがこちらの本では小林りんさんの生い立ちについて書かれています。

本書のエピローグでは西武グループが売り出していた土地を学校の敷地をして買付にくる小林りんさんの様子が西武グループ渡部さんの支店から描かれています。プリンスホテル本社の会議室で西武側から5人の男性が参加し、小林りんさんは一人で訪問します。

打ち合わせの時間を聞くとその中でできる限りの話をとなぜこの学校を創設するに至ったか、なぜこの土地が必要で、さらに世界に誇れる学校になった場合にその土地の値段も上がりお互いにとってメリットのある話であるという点を熱意を持って伝えます。

もともと学校というのは嫌悪施設として近所に建設されるのは拒まれることが多く、他区画を購入したお客さんに対しての理解も得られないと進められない上に、ISAK側の予算は土地1万坪に対して1億円と破格の値段交渉ということでした。

ただし、小林りんさんは自身のコネクションで様々な方面から根回しできたはずなのにも関わらずこの不成立な条件が多い案件を「それを承知でお願い」しにきたとのことでした。

まったく乗り気でなかった西武側はこの姿に惹かれてこの話をすすめることになりました。

幼少時代

幼少時代は成績優秀であった一方で、先輩関係や教師たちとの関係から親が学校に呼ばれることもあるほどに納得できないことに対して意見をしっかり言う子供だったようです。

地元の中学校に行くと同じことが起きると思い中学受験を決意。中学校では出る杭は打たれない環境で個性も育ち、高校は学芸大学付属高校へと進学。受験勉強に偏ることなく自由な校風であった一方で、毎年多くの東大合格者を出す学校にて先生から「東大は難しいのでは」とのコメントがあったことをきっかけに学校不審に陥り、得意の英語を活かした環境へという気持ちのもと退学し留学します。

カナダピアソンカレッジへ

カナダへ留学すると多くの人種の学生と一緒に授業を受けます。得意であった英語が聞き取れないことや多様性がある中でも感じる人種の壁など様々な苦難を乗り越えながら適応していきます。

友人のメキシコの実家を訪れる機会もありメキシコで出会ったスラムの悲惨な現状などから将来について深く考え、今自身がすべきことは何であるのか真剣に考えるようになっていきます。

ピアソンカレッジの次の進学先に選んだのは東京大学でした。無事に東京大学へ入学した後は、ピアソンカレッジで行われていた厳しい学習量に慣れたこともあり大学の授業も難なくこなし、長期休暇が取れるときにはピアソンカレッジでできた世界中にいる友人を尋ねる時間になります。

社会人時代へ

将来の旦那さんは東大工学部からマッキンゼーの投資部門に努めており、その話を聞く中で自身も投資部門への興味を持ちます。話を聞きに行くとこの環境で働きたいと思い面接も「将来は国際問題解決をしたい」と素直に打ち明けるというまっすぐな姿勢を見せます。面接官からは「それならばマッキンゼーに入社しその後大学院に行くのが良い」とアドバイスを受け懐の深い対応をしてもらいます。

仕事環境も素晴らしく、不動産投資部門に行くと不良債権の土地を安値で買収するディールを粘り強く行ったりと徐々に自走し、責任は上司が取るという思いっきり成長できる環境でした。

その後、読んでいたブログをきっかけにラクーンというベンチャーへ入社し、国際協力銀行へ転職、その後スタンフォードの大学院へと入ります。そこで他の大学院生が修論のテーマを何にしようかなど検討もしていない中で入学する前から書くテーマを決め国際協力銀行が出資するTEEPの活動評価を定量・定性の両側面から評価するというものでした。

卒業後はUNICEFへ入社し、そこで一人ひとりの職員ができることの限界も感じます。

その後、谷屋さんとの出会いからISAK創設の話がスタートすることになります。

この後、物語は学校創設への具体的な話へと移っていきます。

前作とオーバラップする部分はあるものの、本書のほうが分量も多く詳細な話も多いように思ったのでどちらか一冊を読むのであればこちらの本のほうが詳しく知ることができるかなと思いました。

ISAKは世界中の子供たちを受け入れるべく学費免除プログラムに寄付を活用しております。ふるさと納税による寄付もできるためぜひ興味を持たれた方は下記リンクを見ていただけますと嬉しく思います。

uwcisak.secure.force.com

最後に

熱量を持って仕事をしていくことの素晴らしさや、まっすぐに突き進める覚悟やこなせる能力・努力など改めて読んでいて刺激を受けた本でした。

教育で世界を変えようとするという決意を元にキャリアチェンジや人脈など全てにおいて優秀な人なのだなという印象です。

今後もISAKがどのような成長をし世界へインパクトを与えていくのか楽しみにしていこうと思います。