最近はYoutubeでも発信をしてくれている伊藤穰一さんの新本を読みました。
新しいテクノロジーに明るく世界的に有名な伊藤穰一さんが初心者に対して書いてくれており、Web3、メタバース、NFTについて知りたい人にとって良い本だと思います
📒 Summary + Notes | まとめノート
多くのテックギークは新しい時代が始まっていると言います。
Web3、メタバース、NFTと今までのルールから逸脱できるツールが生まれこれらのテクノロジーをどのように活用できるかを楽しみにしています。
インターネットが出始めたころと同様に、この後どのようになるかわからないものの、可能性に夢見ており、活用方法を探している状態です。
テクノロジーの最前線に立つJoiが見る世界はどのようなものなのでしょうか。
働き方
ビジネスは映画制作のように、組織ベースからプロジェクトベースになるといいます。このキーとなるものはDAOと呼ばれるものです。
DAOに参加する際に人々はトークン(通貨のようなもの)を報酬として働きます。伊藤穰一さんが運営するHenkakuというDAOではトークンをベースに支払いが行われております。
DAOという形がもたらすのは分散化による透明性です。
DAOは株主、経営者、社員、などの役割がなく自律的な組織です。報酬は全てトークンベースで支払わられ、トークンを現金化することでキャピタルゲインを得られます。
DAOにもよりますが、多くのDAOはトークンホルダーの比率がわかり、株式会社でいう株式がどのように保有されているかが誰にでも分かります。
自分が面白いと思うDAOに参加してプロジェクトが終われば違うDAOに移るなども自由にできます。
所属する時代から個人で仕事をプロジェクト単位に決められ、支払いはトークンで行われる。現金化したいのであればトークンを換金し、保有し続けたいのであれば保有する。
少し夢物語のような話でもあり、民主主義に理想系とも思える形ではありますが、国ごとに異なる税制や規制の中でどれだけこのような形で仕事ができるのか、また株式会社のような監査体制のないDAOという組織でどこまで詐欺が蔓延しないかなど、多くの問題は抱えているものの、魅力的な形にも見えます。
文化
NFTというものは価値の交換に対するキーロールを果たしています。NFTによりアーティストに大金が流れることも多くなり、今まであったアートの商流が変化してきています。
NFTバブルでは石の絵に訳がわからない値がついたり、猿の絵に考えららない大金で取引されていました。これらのバブルの形は可能性を示してくれているとも思います。
NFTにより今まで消費するものという考えから、コミュニティに参加するという考えも拡まっています。コミュニティベースでNFTを発行し、所有者に対してイベントを行うなどの利用もされています。
NFTはライブチケットの転売などにも有効で、所有者が明確になるため全てどのように取引されてかなど履歴を残すことができます。
今はまだまだ儲かるからNFTを利用するケースが多いですが、これからは好きだからNFTを購入するというマインドが広まるのではないかと著者は言います。というのも、NFTのウォレットには自分が過去に何を所有していたのか、この人は儲けようとしていたのか、などが分かることになります。
今ある金融システムの多くをショートカットして、ATMやチケットぴあも要らない新しい可能性です。
アイデンティティ
メタバースの世界が発展することで、人々はより身体性から解放されるのではないかと著者は言います。オンライン空間のメタバースが増えることにより、その中で生活を好む人が増えてくる可能性はありますよね。
教育
Web3の世界では、今までの学歴至上主義の効力を薄めていくのではと言います。Web3の世界では自分の経歴がより透明になり何をしてきたのか、何者なのかということは学歴ではなく実績により見られることになります。
学びの場ではフランス発の42では学ぶ中でトークンがもらえ課題をクリアしていく学校であり、教師がいません。
学年も卒業もなく、経歴不問、学費無料、オンライン学習可というシステムです。
この仕組みでは理系も文系も関係なく今までのシステムや区分けなども無くなります。
民主主義
新潟にある山古志村ではNFTの活用が始まりました。NFTを所有することでデジタル村民としてDAOに参加することで行政に参加することもできます。NFTを所有することで意見することが可能です。
こういった仕組みは、以前成田さんが提唱していた政策ごとの投票なども実現できそうですよね。今のテクノロジーを活用すれば新しい民主主義の形を作ることができますが、まずは村やある地域など小さい区分で活用事例が生まれていくのでしょうか。
希望的側面の反対にある新しい支配的な形も認識する必要があります。
DAOによっては運営者や少数の参加者にトークンが偏り、実際には非民主的な組織であるケースはよくあります。完全な民主主義が生まれるのか、支配者層が移り変わるだけなのか、結果は未来にしかわかりません。
日本はどう備えるべきか
国としてどうするべきなのか。DAOやNFTは既存のシステムを一掃できる可能性があるため、既存のシステムの既得権益者は嬉しくありません。歓迎されない新しいテクノロジーは押さえつけられる形にあります。
この規制漬けの政策は一方で消費者を守る側面もあるため、なかなか結論が付けにくい議論です。
ただし、規制による参入障壁を上げることは技術者の海外流出をうみ、結果として発展を妨げます。税制問題などによりクリプト法人を立てにくい環境も同様です。
感想
新しいテクノロジーによる変化を感じることが多くあります。超理想主義的な民主主義的側面があり、実用面で多くの問題があるとも感じる一方で、多くの希望を感じるのは確かです。
個人レベルとしては、実際にテクノロジーに触れたり参加しながら新しい技術に慣れることはしていきたいですが、夢物語のように描かれている世界になるという視点に関しては可能性は低いようにも思います。
ただし、何か変化が起こっているということは肌で感じますし、クリプトにより海外旅行時の換金や、NFTという技術により物理的なものを信頼のあるデジタル状態で所有などできることが始まるとより良い世界になるように思います。
テクノロジーにより徐々に変化していく世界のいく先が楽しみです。
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