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【再読】医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68 | 牧田 善二 (著) | 2023年書評#55

食事について経験則の話が多く、正しく仕組みを理解した内容の情報は多くないように思います。というのも、メーカー側は商品を売りたいために売り文句として良い面をアピールしますし、周りの人は食習慣で健康だった経験値からお米が良いとか三食取る方が良いなど経験値だよりないわゆるエビデンスの無い話が多いことが一つの原因だと思います。

もちろん美味しいものを食べる楽しさという効用があるために、過度に制限した食事をするのも疑問ではありますが、正しいとされる知識を理解しながら緩やかにできる範囲で食事に気をつけていくということをしようと読みました。

ohtanao.hatenablog.com

 

📒 Summary + Notes | まとめノート

血糖値が全て

本書のメイントピックは血糖値です。最近の医学から血糖値が肥満の原因であったり、イライラや気持ちへの変化の要因に成ることが分かってきました。まず血糖値とはというところを見ていきましょう。

血糖値は糖質(炭水化物)を摂取すると素早く上昇し、摂取の状態(液体に溶けているか、個体か、血糖値を抑えるものと一緒に食べているか)によりその上昇のスピードは変化します。これは血糖値スパイクと呼ばれる現象です。

血糖値が上がると体内では肝臓からインスリンが放出され血糖値を下げようという仕組みが働きます。

血糖値スパイクのスピードが早ければ早いほど血糖値を下げようと体内で働きがあり、血糖値を下げすぎる状態まで落とし、安定な状態に戻るという流れがあります。

このときの血糖値が下がった状態のことを「反応性低血糖」と呼び、眠くなったり、集中力が無いというような状態になるそうです。一方で血糖値が上がった状態は至福点と呼ばれ幸福感のある状態でもあるために血糖値が上がるということを嬉しがる仕組みもあります。

血糖値をコントロールするためには糖質の取り方を気をつけることが大事になります。①量を取らない②取り方を気をつける、という2通りの対処です。

そもそも糖質は何かというと種類が様々です。

  • 炭水化物(ごはん、パスタ、イモ類)
  • 砂糖
  • ブドウ糖、果糖

こう見てみるともうどこにでも入っているようなものですし現代社会の食生活では避けられないものです。著者の牧田さん曰く現代ではあらゆる食事に含まれており基本的には取りすぎの状態になるために、量を減らすのは絶対条件であり、摂取する時は血糖値をあげないような摂取をおすすめしております。

新しい常識

この血糖値の仕組みを理解することから新しい常識をまとめています。

  1. 糖質が太る唯一の原因
  2. カロリーと肥満は関係ない
  3. 脂肪は食べても太らない
  4. コレステロール値は食事では変わらない
  5. プロテインアミノ酸は肝臓を壊す
  6. ちょこちょこ食べる方が太らない
  7. 果物は太る
  8. 疲れた時に甘いものをとるのは逆効果
  9. 発がん性物質を疑われているものは食べない
  10. 運動は食後すぐに行うのがよい

体にいい食べ物

  1. オリーブオイル:オリーブオイルにより血糖値上昇が抑制される
  2. ナッツ:
  3. ワイン:抗酸化作用がある。血糖値を抑制する効果がある
  4. チョコレート抗酸化作用がある。
  5. 大豆:植物性タンパク質
  6. チーズ:血糖値が上がることなくタンパク質を取れる
  7. ブルーベリー:老化を抑制するAGEを抑制する
  8. コーヒー:アンチエージング効果が報告されている
  9. 酢:血糖値を下げる効果がある
  10. 生もの:熱を加えているとAGEが増えるため

血糖値をあげない食べ方

血糖値は70〜140に収まるようにすることが良いと言いますが、実際にどのように食べると良いのでしょうか。

  1. 食べる順番を気をつける

    炭水化物を最初に食べるために食べる時には野菜類、タンパク質、糖質などの順番で食べると血糖値が上がりにくくなります。

  2. 一度に摂取する量を減らす

    一度に接種する量を減らすことで血糖値の上下が抑制されるために、食事を細かく分けると良いです。

  3. 水を多く摂取する

    水を摂取をすると血中の糖の濃度が落ちるために水を飲むだけで血糖値が下がります。

  4. オリーブオイルと摂取する

    糖質を摂取する際にはオリーブオイルなどの脂質と取ると血糖値の上がり方が緩やかになります。

    その点、白米よりチャーハンの方が良く、パン単体よりもオリーブオイルと一緒にパンを食べる方が良いです。

  5. ジュースの接種は避ける

    果物などもですが、清涼飲料水などの甘い飲み物には糖質が多く含まれております。されには吸収されやすい液体の状態であるために、血糖値のあげ方も急になります。

  6. 食後に軽い運動をする

    食後の血糖値上がった状態に散歩などの軽い運動をすることにより血糖値の上昇を抑制することができます。

血糖値以外の食べ方

血糖値に関わる部分や老化をもたらす、がんの原因になるとされる食事習慣なども紹介されています。

  1. 塩分の摂取

    塩分の取りすぎは肝臓を弱らせます。肝臓はインスリンを放出するためにこの機能が低下すると問題になります。

  2. プロテインの摂取

    プロテインの摂取も同様に肝臓を弱らせるために、アスリート以外のプロテイン摂取は気をつける必要があります。

  3. AGEの多い物質を避ける

    AGEは終末糖化産物のことであり、タンパク質や脂質がブドウ糖が結合して劣化する反応のことです。シワやシミの原因になり皮膚の焦げと言われています。

    AGEは基本的に調理したものに多くなり、高温で調理すると大きく増えます。また紫外線やタバコも同様にAGEを増やす原因となります。コゲも同様で、揚げ物などもこの観点では避けたほうが良いものになります。

  4. 発がん性の疑いのある添加物は避ける

    多くの添加物には発がん性の疑いがあります。またハムなどの加工保存食品にも発がん性の疑いがあるそうです。

感想

ある時から糖質や炭水化物ダイエットの話を聞くようになったような気がしますが、その背景にこういった仕組みがあったのかということが理解できる面白い本でした。

健康はメンタル的なものもありますし、食事以外の要素も多々あると思いますが、基本的な知識として知っておくと知らずしらずに健康寿命を長く保てると思いますし食事のセオリーを知るという点では多くの人に読んでもらいたい内容に思います。

そもそも、食後に何だか眠くなると思っている時に血糖値が下がったのかもと認識できれば食事を変えてみたり、食後に運動をしてみてそうしたときの体の反応を見てみることもできます。正しい認識を元に行動の引き出しが増えるということに繋がります。

認識が無いと、よくわからないけど良くなったからなどと経験値を元にした話になりがちですし、その理由が分からずに万人にも勧めてしまうなどの恐れもあります。

こういった理解も比較的に新しいもので、今後もまた変化していくかもしれないと思うと定期的に認識を改めていくという正しい情報の更新方法も意識していきたいと思いました。