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江戸の犯罪録 長崎奉行「犯科帳」を読む | 松尾 晋一 (著) | 2026年書評33

現代でも国ごとにどのように罪を罰せられるかは異なりその地域の文化を計り知ることができます。日本でも処罰の仕方は時代毎に変化していき、江戸時代にどのような犯罪がありそれぞれがどのように処罰されていったのかという事を見ることで江戸時代の文化などを知ることができる、ということで犯科帳を読み解いた本になります。

本書の舞台は長崎奉行。出島があり、日本で数少ない国際都市であった長崎を舞台にどのような犯罪が起こり、どのように処罰されていった情報を辿る面白い本でした。

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📒 Summary + Notes | まとめノート

犯科帳とは

犯科帳とは犯罪と処罰を記録されていた歴史史料です。江戸時代のものは残っているものは数少なく、江戸のものは関東大震災で焼失したりしています。とても貴重な史料が長作では残されており、そこには歴史で有名なジョン万次郎も犯科帳に名が残っているそうです。

当時の裁きとして長崎奉行で決まるものもあれば、江戸にお伺いを立てるものもあり、地域的な目線が主な基準であったものの全国基準での裁き決定もあったとのことです。処罰の種類としては、死体がひと目に晒されるような磔、火罪、獄門、斬首刑なども少なくなく、特にキリスト教の取り締まりが強まった時期にはキリスト教徒に対してその教えに対する見せしめの罰も多くあったようです。

犯科帳に残る犯罪者の中には無宿として記録される人たちも少なくなく、当時戸籍制度の前身となるような制度が始まり監視社会的な側面もありました。そのため密告のようなものも記録されており、疑わしきは取り敢えず捕まえて取り調べをするという事も記録されています。

罪と罰

江戸時代の法制度はおもに二つあり、老中により定められた法令と町触と呼ばれるローカルのルール。江戸の基準に則るとともにそれぞれ地方での判断基準もあったようです。

記録されているものは、窃盗、貨幣偽造、またどの時代でもあるのだと思うものは酒の飲みすぎによる暴力、男女のもつれ、遊女とのかけおちなどです。特に時代を感じるのは罰が五島列島への流刑であったり長崎から追い出されるなど地域社会からの締め出しがしばしば登場します。

オランダ船に関わる事件も記録されており、厳しく取り締まられていた貿易で積出でお礼で受け取ったようなものも後に見つかり罰を受け出島、唐人屋敷への出入り禁止の罪もあったようです。このような荷物が記録に残されずに国内に入ってしまう抜荷と呼ばれる行為の罪は幅広く紹介されており、オランダ人側が捕まる事もあったようです。高価な朝鮮人参の抜荷に関わる罪も紹介されています。

罰として家財3分の1の没収の刑などは現代にも通ずるものですが、鼻削ぎ、入れ墨などの刑を見ると時代を感じます。

感想

江戸時代の長崎を舞台に犯罪録である犯科帳を読みながらその次代の文化や生活を想像していく本でした。江戸時代の長崎は開港されている数少ない国際都市であり、それに関わり多くの人が集まる大きな町でもありました。

長崎に観光へ行くとその国際都市の記録が多くあり、唐人屋敷や出島、そしてキリスト文化などを見ると日本の中でも唯一無二の都市であったのだろうと想像できます。

どの時代においてもやはり人は罪を犯している所を見ると犯罪というものは無くならないものであり、運が悪ければ自分もそういった事を犯してしまう境遇に陥るものなのだなと感じます。当時から何回も罪を犯す人も記録されており7回も犯科帳に記録される人も居れば、人を匿ったりと善意による罪なども見受けられます。

一番変化した様子が感じられるのは刑罰でさらし首もそうですが、島流しなどのその土地への立入禁止や身体的に目立つよう鼻削ぎや入れ墨が行われることでしょうか。額や腕に入れ墨をされて罪を犯した者であるという目印を付けられると社会復帰などされに難しかったのではないかと想像します。

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興味深かったのは米の購入が難しくなった際に、米屋が不当に値段を釣り上げているとして市民が怒り米屋を襲撃した際には単純に罰することはなく世論に応じて刑罰の程度も変化していたようで、そういった事を聞くと世論というのも時と場合によってはとても重要なものであるのだと感じます。

ここ数年、長崎に旅行する機会が数回あり、その度に長崎の不遇な運命を感じたりします。最も感じるのは隠れキリシタン文化で、原城での壮絶な闘いやそこで起きた大虐殺。また長崎南部でのからゆきさん文化。また開港されていた町としての関税での記録など南部地域の小さな町に貴重な展示が残されていますし、長崎市では原爆の被害も残されています。最近では中心地に次々と新しい建物が建設され勢いを感じる街並みでもありますしまた長崎文化を知るために旅行したいと思いました。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/4mDmaXC 江戸の刑罰 (中公新書 31) 新書 – 1964/2/1 石井 良助 (著)
  2. https://amzn.to/4tm7oY8 不義密通: 禁じられた恋の江戸 (講談社選書メチエ 88) 単行本 – 1996/10/1 氏家 幹人 (著)
  3. https://amzn.to/3O9ILyA 耳鼻削ぎの日本史 (文春文庫) Kindle版 清水 克行 (著)
  4. https://amzn.to/4mGnTMb 長崎奉行の歴史 苦悩する官僚エリート (角川選書) Kindle版 木村 直樹 (著)
  5. https://amzn.to/4mDVyWt 長崎奉行: 等身大の官僚群像 (筑摩選書 39) 単行本 – 2012/4/1 鈴木 康子 (著)
  6. https://amzn.to/4myREOE キリシタン禁制と民衆の宗教 (日本史リブレット 37) 単行本 – 2002/7/1 村井 早苗 (著)