会議は社会人では避けることのできないイベントの一つであり、仕事で多くの時間を奪うものになります。以前読んだ社内プレゼンの本の著者前田さんによる会議についての本書を読み、良い会議とはどういったものなのか勉強してみました。
📒 Summary + Notes | まとめノート
会議はお金を生み出さない
大前提に会議はお金を生み出さないという事実確認です。製造業などわかりやすいですが、利益を生み出しているのは製品を製造する工場のラインであり、また販売している現場になります。会議に年収何百万の人が数人出ているとその人達を拘束した時間に伴いコストが発生し、また本来できた仕事の時間を奪うことにもなります。
それではなぜ会議が必要であるのか?会議は意思決定者と実行者間での意思伝達のためです。
会社のサイズにもよりますが、基本的には役員、社長、部長、課長などの階層があります。これらの各階層ごとに意思決定をする必要があるのですが、それを実行に移す役割の人は異なります。部下が何をするのか、なぜするのか、自走できるようにするための意思疎通が不可欠でありその役割が会議という場で行われる必要があります。
スピード・スピード・スピード
会議の目的は意思伝達でありそれによる意思決定です。今の時代仕事のスピードはものすごく重要性が高くなっていますが、会議での意思決定を手助けするスピードが大事になります。
本書では70点の意思決定+PDCAのサイクルで質を高めていき仕事を進めていくことが大事だと言います。100点の意思決定ができるときは既に正解が分かっている=既に遅い時であり、50点であると正解を導き出すための情報がなさすぎる=愚かな判断になってしまうということです。そして正解に近づいていくためにはPDCAのサイクルを数多くかつスピーディーに回すしかありません。
会議の設計図
会議はお金を生み出さないことを考えると短時間であり、かつ意思決定とスピードが十分な速度ある会議が理想的です。そこからどのような会議形態が良いか考えていきましょう。
原則30分:人間の集中力は長く続かない
インプット15分:方針伝達、情報共有、進捗確認など
アウトプット15分:新規提案、課題改善、進捗改善など
会議段取り:前々日に議題確認、前日論点整理
議題の優先順位:①重要度高+短納期②重要度低+短納期③重要度高+長納期④重要度低+長納期
進捗確認:同フォーマット活用(色分け活用)
報告+ネクストステップの1セット
議題、議事録はフォーマット化
何を決めるか?を明確化
これらが基本的な会議の設計図としてチーム間で共有し、効率よく理解しやすいものにしましょう。
資料面
会議を短時間にするためにはアウトプットのための資料も簡潔でわかりやすい必要があります。
提案書はチーム内でフォーマット化
要点→詳細に気をつける:詳細は議題に上がらなければ触れない
議題のテーマはワンテーマ
現状分析+提案のワンセット
根拠+結論はワンセット:根拠が無い結論は理解できない
本書で一番勉強になったのは、意思決定のポイント3点です。
財務的視点:本当に利益を生み出すのか?
実現可能性:本当に現場でうまく回せるのか?
企業理念との整合性:会社の理念(チーム方針)とあっているのか?
さらに財務的視点の部分には①金銭的利益②より多くの利益のある選択③より短期間である選択、の側面で考えることがおすすめされています。
会議運営面
短時間でかつ内容のある会議をするために欠かせないものは運営です。アイデアを出す場、質疑応答、提案確認、意思決定をすすめる中では効率よく話をすすめる必要があります。
アイデア出しの部分はよくある話ではありますがアイデアを発散させてそれを収束させる流れを意識して、否定しない・ポストイット活用などがおすすめされています。
会議で質問する観点として①事実であるのか?②なぜその結論なのか?③論理的に正しいのか?④意思決定できるか?という点です。もう少しシンプルにすると意思決定するためには、①現象とその②理由があり、それが③原理に沿っているのかが必要になります。
それらのポイント以外にある人格的な話や姿勢・態度などのノイズの部分に関しては集中しないような心がけが必要です。
感想
仕事をしている中でプロジェクト毎やある一定期間ごとにスケジュールを振り返って良かったなと思う時間の使い方や会議について振り返ったりするのですが、改めて無駄である会議だったなと思うものや、良くない会議だったなと思うものは中々なくなりません。
ある種コントロールする側でないものも多々あるためにチームとしては会社としての意識共有が無いと改善できないものがあります。一方で自身でコントロールできる会議も増えてくるのでそういったものに関しては時間を奪っている認識を持って良い時間の使い方ができればと思っていました。
良いなと思える(社内)会議の多くは、①意思伝達がある②現場でのアクションは一任③アドバイスがある(ケアすべきポイントのシェア)というものでした。その土台としてカルチャーの理解や方向性・目的の共有などができているものになります。
社外会議でいいなと思えるものは、①会議の目的が明確(進捗共有、問題有無確認)②アクションが曖昧でない③判断・結論がある、というものでしょうか。仕事柄製造業の企業とやりとりになるのですが、相手がその後に報告しやすい記録があるとよりよい気がします。
悪い会議だなと感じるものは、①目的・意図が不明確なもの②必要以上に深堀りするもの③フォーマット・テンプレートが無いものというものが多く、意図が分からないために受け答えが長引いたり話が逸れるものがあります。
また、社外的なものですと、「役員に報告したからもう戻れない」などというようなキラキラストーリーを既に作り上げて引き返しができないというような理由で誘導的なものでしょうか。
会議がよくなる・悪くなるのはメンバーや状況にも依るので玉突き事故的に避けられないものもあるとは思いますが、よい会議とはどのようなものか、のような共通認識が増えて意義あるものが世の中に増えていくと良いなと思います。